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ANA、国内線330便追加欠航 787エンジン問題、繁忙期の予約一部制限

 全日本空輸(ANA/NH)は7月12日、ボーイング787型機が使用するエンジンの整備作業の影響による欠航について、23日から31日までの9日間に、国内線330便を欠航すると発表した。約5万8000人に影響が出る見通し。また、8月の繁忙期の予約を一部制限する。

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—記事の概要—
累計619便欠航
8月は1日10-20便
EASAの改善命令で整備

累計619便欠航

787用RR製エンジン整備の影響で国内線330便が欠航するANA=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 欠航の対象となるのは、羽田発着の伊丹と関西、札幌、福岡、小松、岡山、広島、高松、松山、大分、熊本、那覇の各線と、伊丹-札幌線の計13路線。このうち、期間中の欠航が最も多いのが伊丹線の80便で、福岡線の78便、広島線の37便と続いている。

 日付別では、29日が44便で最も多く、26日41便、27日と28日40便と続く。

 ANAは787のエンジン整備の影響により、7月6日から国内線の一部を欠航。今回の発表分を含め、累計で619便が欠航し、約11万5000人に影響が出る見通し。

 787で運航する貨物便も欠航する。羽田-佐賀線が対象で、7月24日から28日と、7月31日の6日間、計12便が欠航となる。

8月は1日10-20便

 多客期となる8月も、欠航が出る見通し。1日あたりの欠航便数は、7月の15-40便と比較すると、8月は10-20便程度に縮小できる見込み。詳細は7月17日に公表する。

 夏休みの繁忙期となる8月9日から19日は、羽田-伊丹線や福岡線を中心に、予約を制限する。

EASAの改善命令で整備

 整備対象となるのは、ANAの787が使用しているロールス・ロイス(RR)製エンジン「トレント1000」。今年4月に、FAA(米国連邦航空局)とEASA(欧州航空安全局)がRRに対し、航空機の安全性を確保するための整備や改修を指示する「耐空性改善命令(AD)」を出した。日本の国土交通省航空局(JCAB)もこれに基づき、耐空性改善通報(TCD)を発行。ANAも、対象となるエンジンの整備を進めてきた。

 ANAによると、4月の段階では、主に国際線を飛ぶ787-9が搭載している「パッケージC」と呼ばれるエンジン66基が対象だったが、EASAが6月12日にADを追加発行。改修対象のエンジンが、主に787-8が使用している「パッケージB」にも広がり136基に増えたことで、国内線の機材繰りに影響が及んでいる。

 国内でトレント1000を選定した航空会社は、ANAのみ。日本航空(JAL/JL、9201)はGE製GEnx-1Bを選定しており、対象外となる。

関連リンク
【お詫び】ANA国内線の欠航・遅延について [3](全日本空輸)
Rolls-Royce [4]
ロールス・ロイス [5]
Boeing [6]
ボーイング・ジャパン [7]
European Aviation Safety Agency [8]
国土交通省 [9]

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