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エアバス、Cシリーズ事業会社買収へ アラバマで製造も、ボンバルディアや州政府と合意

 エアバスとボンバルディアは現地時間6月8日、ボンバルディアの小型旅客機「Cシリーズ」の製造や販売を担う事業会社「CSALP(C Series Aircraft Limited Partnership)」の株式について、エアバスが7月1日に過半数を取得すると発表した。

エアバスが事業会社株の過半数を取得するCシリーズ=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 今回の株式取得は、2017年10月に発表した計画に基づくもの。現在CSALPには、ボンバルディアと加ケベック州投資公社が出資している。エアバスがCSALPを買収後も、本社や主要製造ライン、関連施設はケベック州ミラベルに置かれる。

 ボンバルディアは、CSALPに対する既存の出資計画を維持するが、エアバスとケベック州による3者のパートナーシップが早期に成立したことで、計画内容を更新。ボンバルディアは、CSALPの資金不足に対して必要に応じて出資し、今年後半には最大2億2500万ドル(約246億円)、2019年には最大3億5000万ドル、その後2年で最大3億5000万ドルの資金提供を計画している。

 また、Cシリーズの製造コストをエアバスのサプライチェーンマネジメントで抑え、米アラバマ州モビールにあるエアバスの工場に2番目の最終組立ラインを設ける。

普通席が2+3配列となるCS100の機内=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 CSALPには現在、ボンバルディアが50.5%、ケベック州投資公社が49.5%出資。7月1日にエアバスが50.01%出資して株式の過半数を取得し、ボンバルディアが約31%、ケベック州投資公社が約19%を保有する構成になる。

 CシリーズはCS100(108-135席)とCS300(130-160席)の2機種で構成。部品は2機種で99%共通化しており、パイロットは同じライセンスで操縦できる。

 従来の同クラス機と比べて燃費を20%、運用コストを乗客1人あたり15%抑え、二酸化炭素(CO2)排出量は20%、窒素酸化物(NOx)排出量は50%削減できるとしている。静粛性の高さや窓の大きさ、シートの幅の広さ、大型の手荷物収納棚(オーバーヘッドビン)などが特長となっている。

 エンジンは、米プラット・アンド・ホイットニー(PW)社製GTF(ギヤード・ターボファン)エンジン「PurePower PW1500G」を搭載。PWのGTFエンジンは、三菱航空機が開発中の「MRJ」や、エンブラエルの「E2シリーズ」も採用している。

 Cシリーズがカバーする100-150席クラス機の市場は、今後20年間に6000機以上の新造機需要があると、エアバスとボンバルディアでは予測している。2017年はCシリーズ全体で17機が引き渡され、今年の納入数は倍増する見通し。

 旅客機大手のエアバスとボーイングは、座席数がCシリーズと同程度の機体を、現在のA320neoファミリーや737 MAXファミリーでは用意していない。ボーイングも、次世代リージョナルジェット機「E2シリーズ」を開発するブラジルのエンブラエルと、提携に向けた交渉を進めていると2017年12月に発表している。

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