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ANA、iPadで訪日客と“会話” タップしてやり取り

 全日本空輸(ANA/NH)は5月25日、訪日客などとのコミュニケーションツールをデジタル化すると発表した。専用のアプリを客室乗務員(CA)や地上旅客係員に支給するiPadにインストールして使用するもので、訪日客のほか、耳の不自由な利用客などとのやり取りを円滑化する。6月1日から導入する。

6月から導入を開始する「ANAコミュニケ-ション支援ボ-ド」=16年5月25日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

コミュニケ-ション支援ボ-ドの言語選択画面(ANA提供)

 コミュニケーションツール「ANAコミュニケ-ション支援ボ-ド」は、従来の紙製のものを発展させて導入する。対応言語は全17言語で、アジアは日本語を含め13言語、欧州は英語を含め4言語。ANA就航地の言語に対応する。当初は日本語と中国語(簡体字)、韓国語、英語の4言語に対応。9月からは中国語(繁体字)やドイツ語など、13言語を追加する。

 同ツールは、CAや地上係員が携帯するiPadにインストールして使用する。立ち上げて言語を選択すると、機内では座席や手荷物など、空港ではチェックインカウンターや搭乗口など、状況別の会話を表示する。

 各項目にはピクトグラム(絵文字)を配置し、直感的に分かるようにした。表示されたテキスト(文字)を利用者とCAらが双方でタップすることで、会話が成立する仕組み。テキストのほか、音声でも案内する。声は機械による合成音声ではなく、外国籍のCAなどによる「生声」を採用した。また、インストール済みの会話以外にも対応。指でなぞる「筆談」にも応対する。

 合計で9000台のiPadに導入する。このうちCAは7500台、地上係員は1500台を使用する。

 これまで使用していた紙製のコミュニケーションツールは、A4サイズの表裏にアイコンを並べたシンプルなもので、対応言語も日中(簡体字)韓英の4カ国語のみ。地上係員向けに導入し、CAは使用していなかった。

 先行導入する4カ国語のうち、中国語の簡体字は画数を少なくした簡略化した漢字で、中国本土やシンガポールで使われている。9月から導入する繁体字は画数の多い漢字で、台湾や香港など、本土以外で使われることが多い。

機内・空港別の状況で会話を表示(ANA提供)

コミュニケ-ション支援ボ-ドをタップする利用客役の男性(左)=16年5月25日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

CAに筆談で質問する利用客役の男性(左)=16年5月25日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

これまで導入していた紙製のコミュニケーションツール=16年5月25日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

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【お知らせ】
タイトルをYahoo!ニュース配信記事と統一しました。(16年5月25日 16:48 JST)