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ANA、A380にファーストクラス 成田・羽田19年春就航へ

 全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(9202)は1月29日に発表した中期経営計画で、エアバスA380型機の導入を正式決定した。首都圏を発着するホノルル路線に、2019年春の導入を目指す。また、ファーストクラスを設定し、富裕層の取り込みを狙う。

羽田空港に初飛来したA380。ANAは羽田-ホノルル線への投入も計画する=10年10月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
・ファースト導入で富裕層取り込み
・発注は15年12月
・ホノルル線の運賃「A380で下がる」
・777Xキャンセルなし
・シミュレーターと整備は社外

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ファースト導入で富裕層取り込み

中期経営戦略を説明するANAホールディングスの長峯取締役=16年1月29日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 ANAHDはA380を3機購入し、すべて新造機を導入する。エンジンはロールス・ロイス製トレント900を選定した。羽田と成田からのホノルル線に投入し、日本時間の夜に出発する便を運航する。富裕層を含めたプレジャー需要を狙うため、ファーストクラスを設定する。そのほかのクラス構成や座席数は未定。

 A380の導入を決定した経緯について、グループ経営戦略室長の長峯豊之・取締役執行役員は「2015年1月に発表した長期戦略構想で、リゾートへの取り組みが手薄と認識し、リゾート路線への強化を検討していた」と説明した。

 ANAはホノルル路線を継続的に強化していたものの、座席供給量は10%程度で、日本航空(JAL/JL、9201)など競合他社よりも低い値となっている。ホノルル線は通年で高い安定需要を見込め、A380は一度に大量輸送できることから、「エアバスとは2015年春くらいから協議を重ねてきた。夏にA380のリゾート路線への投入を検討し、秋に選定委員会を立ち上げた」と明かした。

 2015年1月28日に経営破綻したスカイマーク(SKY/BC)の再建に関わることが、A380導入の契機になったかについては、「検討の加速になったのは否めない」(長峯氏)と述べるに留めた。

 ANAHDは4月にスカイマークへ出資し、8月5日には同社が支援するスカイマーク側の再生計画案(再生債務者案)が、エアバスやロールス・ロイスなど大口債権者の賛同を得て可決された。

発注は15年12月

ANAHDが15年12月に発注したA380=14年7月15日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 エアバスのオーダー&デリバリーによると、2015年12月16日に匿名顧客がA380を3機購入。長峯氏はこの匿名顧客がANAHDであると認め、「価格などは12月に大筋で合意ものの、エンジンを選定していなかった。ANAHDとしては(1月29日開催の)取締役会での決定をもって発表した」と述べた。その上で、「エアバスは2015年の実績として(A380の受注を)発表したかった。ANAHDは顧客名を匿名とした上で公開してほしい」と要望したことを明らかにした。

 かつてANAは、A380を導入しないことを決定していた。これを改めたことについては、「前回は