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銀座三越に訪日客向け免税店 日本人出国者の利用も

 三越銀座店内に1月27日、空港型免税店「ジャパンデューティーフリー ギンザ」がオープンした。訪日外国人向けだが、1カ月以内に出国する日本人も利用できる。

 沖縄を除く日本初の空港型免税店で、街中にありながらも空港出国後の制限エリア内にある免税店と同様、関税や消費税、酒税、たばこ税が免税になる。このため、外国人旅行者が街中よりも割安に買い物ができる場合がある。

受付で手続きする来店客=16年1月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 売場面積は約3300平方メートルで、銀座店8階にあったリビング売場と催事場を改装した。店内はゆとりをもったレイアウトにし、既存免税店が得意とする団体旅行客よりも、富裕層の個人旅行者や法人需要の取り込みを狙う。

 銀座通り側から「海」「森」「丘」「市」「集落」と銀座を自然に見立てた店内には、化粧品や香水、酒類、たばこ、デジタルカメラ、ブランド品、伝統工芸品などを揃える。初年度の売上は150億円、来店者数は70-80万人を見込む。

 また、3月9日には海外の高級腕時計を扱う売場がオープンし、全店が揃う。

—記事の概要—
日本人も利用可
既存免税店と差別化

日本人も利用可

 高級ブランド店9店舗のうち、免税店への出店が世界初となるのがフランスのブシュロン、国内初はサンローランとヴァレンティノの2店舗。化粧品・香水は18ブランドのうち、アルビオンが国内免税店では初出店となる。酒類は日本酒やウィスキーなど36品目、タバコは19銘柄を揃えた。

日本の伝統工芸品を扱う店内=16年1月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

九谷焼のお菓子壺=16年1月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 また、「たくさんの職人の手」を意味する「The 800 hands Japanese Beauty」と名付けたコーナーには、日本の伝統工芸品や陶器、ガラス細工、デジタルカメラ、ドライヤー、グッドデザイン賞受賞商品などが並ぶ。

 訪日客が利用する際、最初にレセプションカウンターを訪れてパスポートや航空券を提示し、名前やパスポート番号などの情報を事前に登録する。空港型免税店では、海外へ出国することを確認する必要があるためで、会計時に毎回パスポート類を確認する手間を省くため、カウンターで利用者の必要情報を記録した2次元バーコードを貼った「ショッピングホルダー」が手渡される。

 店内には商品のサンプルが展示されており、注文カードや設置されたタブレット端末などで注文する。商品は空港で出国手続き後に引き渡されるため、会計後は引換券となる「輸出確認書」が発行される。

 店舗中央には「インタラクティブゾーン」を設け、航空券を模したカードを円形テーブルにかざすと、カードに応じた文字や映像、銀座の景色が浮かび上がる。また、多頻度利用者など、店側が招待した客が利用できるラウンジも設けた。ラウンジ内でタブレット端末を使った注文にも応じる。

 訪日客以外に日本人も利用できる。購入は出発日の1カ月前から前日までで、商品の受け取りは訪日客と同様、空港で出国手続き後となる。免税の関係で、市価よりも3割程度安い商品もあるという。

既存免税店と差別化

 店舗を運営するのは、羽田空港国内線ターミナルを運営する日本空港ビルデング(9706)、三越伊勢丹ホールディングス(3099)、成田国際空港会社(NAA)の100%子会社で免税店運営を手掛けるNAAリテイリングの3社が設立した、ジャパンデューティーフリー ファソラ 三越伊勢丹。運営会社の山本兵一社長は、「日本を感じ取る免税店にした。訪日外国人の買い物額が昨年3兆円を超えたので期待している」と語った。

テープカットする(左から)三越銀座店の浅賀店長、三越伊勢丹HDの大西社長、運営会社の山本社長、日本空港ビルの鷹城社長、NAAリテの蒲生社長=16年1月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 三越銀座店では、2015年は約200億円の免税売上があり、免税が占める割合も2014年の13%から2015年は26%に倍増した。三越伊勢丹HDの大西洋社長は、「化粧品などは多くのブランドが揃っているので、下の階でも免税フロアを案内する。(免税で)3割くらいは売上が減るので、それほど大きな売上増は見込んでいない」と語った。

 日本空港ビルの鷹城勲社長は「12月後半に開店したかったが、ブランドとの調整や店舗工事の問題で遅れた。後手に回っている部分もあるが、軌道に乗せていきたい」と話す。

 今後の展開として、2店舗目の候補には免税品販売が見込める新宿が挙がっている。鷹城社長は「具体的には絞り込んでいない。新宿以外にも、お台場などが候補になると思う」と述べるにとどめ、訪日客に人気の高い場所への出店を目指す。

 中国経済の減速による影響については、「昨年後半に入り、高額商品の売上げは鈍ったが、来店者数はあまり減っていない。中国の富裕層は相当層が厚いので、急減するとは思っていない。昨年ほどではないが伸びるだろう」(鷹城社長)と見通しを示した。

 また銀座店の品揃えは化粧品や酒類のほか、ブランド品や日本の伝統工芸品など、客単価が高いものが多い反面、中国人客に人気が高い炊飯器などの家電製品は少ない。鷹城社長は「スペースの問題。2号店などでは炊飯器なども扱っていきたい」と語る。

 「銀座なので、落ち着いた感じで買い物を楽しんでもらいたい。韓国などの免税店とはひと味違うものを作りたい」(鷹城社長)と狙いを説明した。

来店客を出迎える各社社長=16年1月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

受付で手続きする来店客=16年1月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

化粧品売場で説明を受ける来店客=16年1月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

18ブランドが揃う化粧品・香水コーナー=16年1月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

18ブランドが揃う化粧品・香水コーナー=16年1月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ブルガリなど18ブランドが揃う化粧品・香水コーナー=16年1月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

オープン時は酒類36品目を扱う=16年1月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

オープン時は酒類36品目、タバコ19銘柄を扱い、テーブルに置かれたタブレットで注文=16年1月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

グッチなど高級ブランドは9店舗=16年1月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

日本の伝統工芸品を扱う店内=16年1月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

グッドデザイン賞受賞商品を扱う店内=16年1月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

グッドデザイン賞受賞商品を扱う店内=16年1月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

タブレット端末で注文も出来るラウンジ=16年1月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

オープン記念式典で三越銀座店前に並ぶ関係者ら=16年1月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関連リンク
Japan Duty Free Fa-So-La 三越伊勢丹 [1]
日本空港ビルデング [2]
三越伊勢丹ホールディングス [3]
Fa-So-La [4](NAAリテイリング)

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