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福岡空港、滑走路増設時に騒音軽減 国交相、評価書に意見

 国土交通省は9月11日、福岡空港の滑走路増設について、環境影響評価書に対する国土交通大臣の意見書を、事業者である九州地方整備局長と大阪航空局長に送付したと発表した。

第2滑走路建設に向けた環境影響評価が進む福岡空港=14年6月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 福岡空港は現在、2800メートル滑走路1本のみで、2500メートルの第2滑走路の増設が計画されている。2013年度の年間旅客数は1929万人で、年間発着回数は16万7000回に達しており、滑走路が1本の空港では、国内でもっとも利用されている。

 意見書では、空港と周辺地域での騒音軽減達成に向けた措置を講じることや、温室効果ガスの排出量低減の実施を、評価書に記載するよう求めた。

 騒音を軽減する運航方式の実施や防音壁の設置、駐機中の航空機への電源供給にGPU(地上電源装置)の利用促進、航空会社へ低騒音機の導入を働きかけるなどの措置により、環境基準を達成させる。

 騒音調査については調査地点を追加し、結果を定期的に公表する。また、空港への進入方式の高度化導入については、騒音予測や評価結果に基づき、関係者間の調整を経て行うとした。

 環境基準が達成されない地域では、必要な場合は移転補償や住宅の防音工事を実施することで、達成時と同等の屋内環境を保てるよう求める。

 九州地方整備局と大阪航空局は今後、国交相の意見を踏まえて評価書を修正。修正後の評価書を関係自治体へ送付し、公告・縦覧することで環境影響評価を終える。

 福岡空港は、現時点でLCCの新規就航などで発着回数が急増していることから、国交省は夏ダイヤが始まる2016年3月27日から、羽田や成田、伊丹、関西の4空港と同じ「混雑空港」に指定。1日または一定時間当たりの離着陸回数を制限する。

 一方で、2013年度の国管理27空港の収支では、福岡空港は民間の土地へ支払う土地建物借料が80億9400万円と、依然として突出している。過大な賃料が収支を大きく圧迫しており、営業収益が前年度比22億8000万円増の113億9300万円となったにもかかわらず、営業損益は那覇(109億5600万円)、仙台(33億5900万円)、新潟(24億5400万円)に続く22億2300万円の赤字となっている。

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