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三菱重工、MRJ量産で松坂市と工場立地協定

 三菱重工業(7011)は6月1日、工場立地協定を三重県松阪市や、中小の航空機部品メーカー9社で構成する航空機部品生産協同組合と締結した。三菱航空機のリージョナルジェット機「MRJ」の製造を手掛ける三菱重工は、市内の松坂工場で、2016年度から水平尾翼と垂直尾翼の量産組立を始める。MRJの量産開始に向けて、官民が協力する枠組みを整えた。

MRJの尾翼生産に向け三菱重工が松坂市と協定締結=14年10月18日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 協定により、三菱重工は組合の松阪工場内建屋の利用に協力。民間機の小物部品について、切削やプレスなどの加工から表面処理・塗装まで、全プロセスを手掛けられるよう支援する。

 両者が協力することで、効率化やコスト競争力のある部品生産の仕組みを構築。生産開始時に必要となる各種認証の取得なども全面的に支援していく。

 板金や機械加工メーカー、自動車部品メーカー計9社が参画する組合では、ボーイングの旅客機やMRJなど、民間機向け中小物部品の一貫生産体制実現を目指す。自動車産業の部品作りの手法なども取り入れ、世界市場で勝てる競争力をつけていく。

 松阪市が位置する東海地域は、航空機関連メーカーが集積し、「アジアNo.1航空宇宙産業クラスター形成特区」にも認定されている。松阪工場は松阪中核工業団地内にあり、同特区の指定を受けている。

 MRJは2014年10月18日、88席仕様の標準型MRJ90がロールアウト。型式証明の取得は2017年上期を予定している。ローンチカスタマーの全日本空輸(ANA/NH)への初号機引き渡しは、2017年4-6月期となる見通し。

 MRJの合計受注数は、確定受注223機、オプション160機、購入権24機の計407機。量産初号機を受領予定のANAのほか、日本の航空会社では日本航空(JAL/JL、9201)が32機発注しており、2021年から受領を予定している。グループ会社のジェイエア(JAR/XM)が、地方路線の主力機として運航する。

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