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エアアジア、楽天と日本再参入 15年6月就航、羽田も視野に

 エアアジア・グループは7月1日、楽天(4755)などと共に日本市場へ再参入すると発表した。新会社の名称はエアアジア・ジャパンで、中部空港(セントレア)を拠点に2015年6月の就航を目指す。

エアアジアのA320を模したセットから登場する楽天の三木谷社長=7月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

エアアジアのフェルナンデスCEOと抱き合う三木谷社長=7月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 CEO(最高経営責任者)には、旧エアアジア・ジャパンの小田切義憲氏が就任した。出資比率はエアアジアが49%、投資会社オクターヴ・ジャパン インフラストラクチャーファンドが19%、楽天が18%、化粧品会社ノエビアホールディングスが9%、スポーツ専門店アルペンが5%。資本金は70億円を予定している。

 機材はエアバスA320型機(180席)で、当初は2機。エアアジアグループからのリースで、新造機を使用する。2015年末時点では4機体制とし、その後は1年間に5機ずつ増やしていく。

 小田切CEOは、「羽田への就航を考えている。初便就航のタイミングでスロット(発着枠)が確保できれば入りたいが、段階を踏んで当局と調整して就航する。羽田に入ることは非常に大きな事であり、国土交通省と連携しながらチャンスを狙っていきたい」と、将来的な羽田就航に言及した。

日本市場再参入を発表するフェルナンデスCEO=7月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 また、機内販売などの附帯事業についても、「国際線での免税品販売では、事後に商品を受け取るシステムも考えたい」として、運賃以外の収入を積極的に増やしていく考えを示した。

 エアアジアのトニー・フェルナンデスCEOは、日本のLCC(低コスト航空会社)が上手くいっていない理由として、「高コストな成田に就航しているからだ。しかも非常に近い場所に羽田がある。今までと違うルートで飛ばせば、5年、6年かからず黒字化できると楽観視している」と述べ、成田空港を拠点とすることがコストを下げられない要因だと指摘。羽田など採算性の見込める路線の実現を目指す。

 旅行サイト「楽天トラベル」を傘下に持つ楽天の三木谷浩史会長兼社長は、「エアラインは単純に人をA地点からB地点に動かすだけではなく、機内エンターテインメントや機内販売、決済システムと、IT業界と非常にシナジーが高い。楽天トラベルだけではなく、電子書籍「kobo(コボ)」を機内で使っていただくとか、eコマースの提携など、無限の可能性がある」と、エアアジアとのシナジーの高さを強調した。

羽田乗り入れを目指すエアアジア・ジャパンの小田切CEO=7月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 「インターネット企業でエアラインに出資したのは世界で初めてだと思う」と話す三木谷社長は、出資比率を18%にとどめた点について、「20%付近がひとつの目安。楽天トラベルを通じた送客やeコマース、機内エンターテインメント、政府との調整でお手伝いしたい」と述べ、中核事業としての出資ではないと語った。

 三木谷社長は自ら立ち上げた経済団体「新経済連盟」の代表理事も務める。「昨年から産業競争力会議のメンバーとして、役所や政府と協議してきた。政府が東京五輪に向けて訪日外国人を増やすことには、かなりの本気度を感じており、本気度が今までとは全く違う。航空行政は大きなテーマだという認識が、今までとは違うレベルで高まっていると感じる」として、訪日外国人の増加に向けて、航空行政の規制緩和に期待感を示した。

エアアジアとの親和性の高さを話す楽天の三木谷社長=7月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 フェルナンデスCEOも、「最近は政府が積極的に動いていると感じている」と前回の参入時よりも手応えを感じている。「また失敗するのがわかっていれば、再び日本に来る必要はない。日本のように1億人のマーケットがあって成功できないのはやり方が間違っていると考えるべき」と、再度日本市場に挑戦する理由を説明した。

 また、近年LCCで問題となっているパイロット不足について、小田切CEOは「グループ内での融通も含め、1年かけて準備していく」と述べた。「顧客満足度を高めるために、従業員の満足度を高めるのがエアアジア。客室乗務員が良い環境で働けるようにしたい」として、魅力ある職場環境でパイロットや客室乗務員を確保していく姿勢を示した。

 1日に都内で開かれた会見では当初、楽天側の出資は伏せられ、三木谷社長はエアアジアのエアバスA320型機を模したセットからサプライズゲストとして登場した。

*小田切CEOインタビューはこちら [1]

エアアジアの客室乗務員とともに並ぶ(中央左から)小田切CEOとフェルナンデスCEO、三木谷社長=7月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

日本再参入の理由を説明するフェルナンデスCEO(左)=7月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関連リンク
エアアジア [2]
楽天 [3]
ノエビア [4]
アルペン [5]

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