日本航空(JAL/JL、9201)の鳥取三津子社長は11月2日、収益環境が厳しい国内線について、スカイマーク(SKY/BC、9204)など中堅航空会社や、現在コードシェア(共同運航)を実施しているフジドリームエアラインズ(FDA/JH)などとの連携強化は、現時点で具体的な計画がないとしつつ、路線網の維持と採算改善に向けて必要な協力は検討する考えを示した。国内線燃油サーチャージは2027年4月の導入を目指し、年内に内容を発表する見込み。また、グループCFO(最高財務責任者)を務める斎藤祐二副社長は、国内線の運賃単価を今後も引き上げる必要があるとした。

厳しい状況が続く国内線。中堅とは「必要な関係強化は取り組む」との考えを示したJALの鳥取三津子社長=26年11月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
鳥取社長は同日開いた2026年4-9月期(27年3月期第2四半期)決算会見で、国内線について「非常に厳しい」事業環境にあると説明。ネットワークを維持しながら利益を確保できる事業構造への転換を優先する姿勢を示した。国とも協力して進めるダイヤ調整に加え、今後は供給調整にも取り組む考えを示した。全日本空輸(ANA/NH)とは、10月25日から羽田-岡山線で初めてダイヤ調整を始めている(関連記事 [1])。
—記事の概要—
・中堅航空会社との連携
・国内線サーチャージは年内発表
・国際線新機材
中堅航空会社との連携
ANAホールディングス(ANAHD、9202)が10月29日に、エア・ドゥ(ADO/HD)とソラシドエア(SNJ/6J)の共同持株会社リージョナルプラスウイングス(RPW)と完全子会社化に向けた基本合意書を締結したことについて、鳥取社長はANAHDの経営判断として評価を控えた。

RPWの完全子会社化でANAとの関係が深まるエア・ドゥとソラシドエア=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
完全子会社化を巡り、羽田空港の発着枠が回収・再配分される可能性については、現時点で発着枠の取得に向けた「具体的な検討はしていない」と説明。将来の取得意欲は完全には否定しなかったものの、国内線ネットワークの維持と収益構造の改善を優先する考えを示した。
国内の中堅航空会社を指す「特定既存航空会社」4社のうち、ANAグループとコードシェアを実施していないのはスカイマークのみ。また、スカイマーク以外の3社は、予約システムもANAと同じものを利用しており、事実上同じグループの航空会社に限りなく近い。
JALが国内線でコードシェアを行っているFDAは、鈴与(静岡市)が100%出資する地域航空会社。鈴与グループはスカイマークにも出資している。こうしたANAと距離のある航空会社との連携について、鳥取社長は「現時点では具体的な計画はない」と応じた。一方、国内線の採算を確保しながら利便性の高いネットワークを構築するため、必要な関係強化には今後も取り組む姿勢を示した。

スカイマークとFDAには鈴与グループが出資=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
国土交通省航空局(JCAB)は5月29日に、「国内航空のあり方に関する有識者会議」の報告書を公表するとともに、航空局長通達を改正し、大手航空会社による中堅航空会社4社への出資を実質20%までに制限していた規制を廃止した。報告書では、大手の出資比率が20%を超える場合などは、出資拡大を受ける航空会社が保有する羽田発着枠の10%を超えない範囲で回収し、出資拡大などに関係しない特定既存航空会社のみに再配分する方針を示した。
ANAHDは特定4社すべてと資本関係がある。2026年3月末時点では、スカイマークに12.97%、スターフライヤーに13.61%を直接出資。エア・ドゥとソラシドエアについては、両社を100%子会社とするRPWに15.32%出資している。今回の基本合意では、最終契約の締結や必要な承認、競争法上の手続などを経て、ANAHDがRPWを2027年4月1日に完全子会社化することを目指している。
国内線サーチャージは年内発表
国内線燃油サーチャージについて、鳥取社長は2027年4月の導入を目指していると説明。制度の確定に向けて航空局と調整しており、年内に具体的な内容を発表する予定だとし、利用者には丁寧に説明するという。

27年4月からサーチャージを導入する国内線=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
国内線の旅客単価については、斎藤CFOが継続的な引き上げの必要性に言及。2026年4-9月期の国内旅客単価は前年同期比8.2%増の1万7098円で、1300円上昇した。有償旅客数は2.2%減少したものの、旅客収入は5.8%増の3197億円となった。
斎藤CFOは、国内線の利益率がほぼ収支均衡の状態だと仮定した場合、利益率を10%程度に高めるには旅客単価を約1割引き上げるイメージを示した。一方で、国内線のコストも毎年4-5%程度上昇すると見込んでおり、単価を一定水準まで引き上げれば採算が安定するわけではなく、継続的な運賃引き上げと収益構造の改善が必要だと説明した。
国際線新機材
一方、旺盛な訪日需要の取り込みなどで好調な国際線の新機材導入について、鳥取社長は航空機メーカーのサプライチェーンの混乱による納入の遅れが想定されるとし、既存機材を活用するなどして影響を最小限に抑える考えを示した。

JAL A350-1000の個室ビジネスクラス=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JALは、国際線向けにエアバスA350-900型機20機を2027年度から、ボーイング787-9型機10機を2028年度から導入する計画。新機材の客室仕様は、個室ビジネスクラスを導入したフラッグシップ、A350-1000に準じたものになるとみられる。
一方、機内サービスについては、訪日客の増加や利用者のニーズの多様化を踏まえ、「これまで通りのコンセプトで決めていくことがいいのか。旅中(たびなか)から旅後(たびあと)まで、ご満足頂けるものにしていきたい」(鳥取社長)との認識を示した。
関連リンク
日本航空 [2]
4-9月期決算
・【更新】JAL、燃油高・円安で純利益42%減 売上収益は再上場後最高=26年4-9月期 [3](26年11月2日)
ANAの動向
・ANA、エア・ドゥとソラシド持株会社を完全子会社化へ ANAブランドに統合も [4](26年10月29日)
有識者会議
・中堅4社への出資規制を正式廃止 国内航空のあり方報告書公表=国交省 [5]’(26年6月1日)
ANAとダイヤ調整
・ANAとJAL、初のダイヤ調整開始 羽田-岡山、近接便を1時間差に [1](26年10月25日)