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副操縦士は「誰と飛ぶか」も重要 JAL 777就航30周年はとバスツアー、退役JA733Jも見学

 はとバス(東京・大田区)と日本航空(JAL/JL、9201)を中核とするJALグループは9月22日、JALのボーイング777型機就航30周年を記念した日帰りツアーを開催した。羽田空港の「JAL SKY MUSEUM(JALスカイミュージアム)」で、退役後の売却整備が進む777-300ERの3号機(登録記号JA733J)を見学したほか、現役パイロットが航空教室を開き、1カ月の乗務スケジュールでは「どの機長と一緒に乗務するか」が気になるという本音や、訓練・審査、飛行中の天候判断など、外部からはうかがい知ることが難しいパイロットの仕事の裏側も参加者たちに紹介した。

羽田空港の格納庫で売却整備中の退役した777-300ER JA733JについてはとバスのJAL 777就航30周年ツアー参加者に説明する間瀬英明機長(右)=26年9月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
777就航30周年ツアー
「誰と飛ぶか」も重要
積乱雲どう避ける?
白装束のJA733J「寂しい」

777就航30周年ツアー

 はとバスとJALグループのコラボツアーは今回で4回目となり、9月8日に発売後、11日朝までに完売。41人が参加した。今回はJAL側からの“持ち込み企画”で、JALの777が今年で就航30周年を迎えたことから、777のパイロットが所属する運航本部の777運航乗員部から持ちかけた。

羽田空港の格納庫で売却整備中の退役した777-300ER JA733Jを見学するはとバスのJAL 777就航30周年ツアー参加者=26年9月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 格納庫で売却整備中のJA733Jは、羽田へ今年5月17日に帰着したシカゴ発JL9便が最後の商業運航となり、約21年の運航を終えた。はとバスとのツアーを企画した777運航乗員部業務グループの細川翔平さんは、JA733Jがまだ羽田にいることから、就航30周年記念のツアーを開催できないかと、はとバスに7月の終わりごろ打診。その後は急ピッチで準備を進めたという。

 ツアーは、22日午前11時すぎに東京駅のはとバス乗り場を出発。羽田空港の新整備場地区へ到着後は、ビジネスクラスの機内食による昼食、777の現役パイロットによる航空教室、スカイミュージアムやJA733Jが駐機してある格納庫を見学し、午後6時すぎに東京駅へ戻った。

はとバスのJAL 777就航30周年ツアーを企画した777運航乗員部業務グループの細川翔平さん(左)=26年9月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

東京駅の乗り場で出発を待つはとバスの新車=26年9月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

東京駅の乗り場で出発を待つはとバスの新車=26年9月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

東京駅を出発し羽田空港へ向かうはとバスの車内=26年9月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 はとバスによると、今回使用したバスはいすゞのガーラで、8月に納車されたばかりの新車。LED照明や充電用USB端子など、最新仕様のバスを投入した。

 昼食会場となったジャルロイヤルケータリング(JRC)の羽田工場では、JAL国際線の一部ビジネスクラスで提供している「黒豚と黒毛和牛のハンバーグ ガーリックトマトソース」をメインとする機内食に加え、韓国路線のビジネスクラス向けデザートがコーヒーや紅茶とともに用意され、参加者は昼食を楽しんだ。

強い風が吹く中はとバスツアー参加者を出迎える(左から)777運航乗員部副部長の足立純一機長、下田遼太副操縦士、間瀬英明機長=26年9月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

国際線ビジネスクラスの機内食による昼食会場となったJRC=26年9月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

「黒豚と黒毛和牛のハンバーグ」をメインとするJAL国際線ビジネスクラスの機内食=26年9月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

国際線ビジネスクラスの機内食による昼食会場となったJRCの施設内で参加者を記念撮影するはとバスのガイド=26年9月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

「誰と飛ぶか」も重要

 昼食後の航空教室は、777を操縦する間瀬英明機長と下田遼太副操縦士が担当。777に乗務するパイロットのスケジュールを作成する「スケジューラー」が司会を務めた。下田さんの月間乗務スケジュールを例に、国際線乗務や休日、スタンバイ、シミュレーターによる訓練・審査など、パイロットの1カ月を紹介した。

はとバスのJAL 777就航30周年ツアーで開かれた777現役パイロット間瀬英明機長(左)と下田遼太副操縦士による航空教室=26年9月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 スケジューラーとパイロットでは、同じ乗務スケジュールでも見え方が異なるようだ。スケジュールを作る側からは比較的「きれい」な内容であっても、間瀬さんはパイロット側の感覚との違いを紹介。例えば、バンコク発の深夜便を乗務して帰国後、1日休んでシミュレーター審査、その後に2日間の休日がある例に触れ、可能であれば休みを審査前に持ってきてほしいと冗談交じりに話し、参加者の笑いを誘っていた。

 航空会社のパイロットは、必ず2人以上で乗務する。短距離国際線や国内線の2人編成では機長と副操縦士か、機長2人で乗務。長距離国際線の3人編成「マルチ」は機長2人と副操縦士1人、状況によりさらに多い4人編成「ダブル」は主に機長2人と副操縦士2人で乗務する。

 月間スケジュールが発表されると組む相手も分かるが、間瀬さんによると特に副操縦士にとっては「どこへ飛ぶか」や時差の心配だけでなく「誰と飛ぶか」も重要だという。下田さんは、ペアを組む機長を最初にすべて確認し、誰と一緒に飛ぶかを把握して準備しているそうだ。

はとバスのJAL 777就航30周年ツアー参加者にプレゼントされた記念品=26年9月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

積乱雲どう避ける?

 続いて、出発前から到着までの仕事を紹介した。下田さんによると、国際線では出発の約1時間50分前に集合し、飛行経路や高度、搭載燃料などを確認。整備士と機体の状況などを確認し、客室乗務員とも飛行情報などを共有する。

はとバスのJAL 777就航30周年ツアーで開かれた777の現役パイロットによる航空教室で参加者の質問に答える間瀬英明機長(左)と下田遼太副操縦士=26年9月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 下田さんは、ツアー参加者を客室乗務員に見立て、サンフランシスコ行きを想定したブリーフィングも実演した。飛行時間や巡航高度、到着地の天候、揺れが予想される時間帯、シートベルトサインの点灯予定などを伝え、客室乗務員と情報を共有してフライトを組み立てる様子を紹介した。

 話は飛行中の天候判断に移り、積乱雲を避ける場面を取り上げた。下田さんは、前月の福岡行きで名古屋から岐阜付近に積乱雲が発達し、石川、福井方面まで北寄りに回避した経験を紹介。間瀬機長は、ウェザーレーダーや目視で雲の状態を確認し、機長と副操縦士が互いに判断を補いながら回避方法を決めると説明した。

はとバスのJAL 777就航30周年ツアーで開かれた航空教室=26年9月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 間瀬さんが強調していたのは、安全性を前提に、快適性や効率性、定時性も考えて判断することだった。雲を避ける経路によっては効率性や定時性に影響する一方、回避しながら目的地への近道になる場合もあり、シートベルトサインも乗客の移動や機内サービスを考慮するという。

 航空教室の後半には、777-300ERの機体に関するクイズ大会も開かれ、エンジンや機首、翼端形状などを出題した。参加者の正解率はかなり高く、追加問題が出るなど、パイロット側が参加者の知識量に驚く場面もあった。参加者には特製のウイングバッジが用意され、全員に手渡された。

白装束のJA733J「寂しい」

 航空教室を終えた参加者はJALスカイミュージアムへ移動し、格納庫では鶴丸ロゴなどが消され、「白装束」となったJA733Jを間近で見学した。

羽田空港の格納庫で売却整備中の退役した777-300ER JA733JについてはとバスのJAL 777就航30周年ツアー参加者に説明する足立純一機長=26年9月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 この日のJA733Jは、売却整備のため直径がボーイング737型機の胴体とほぼ同じ約3メートルと巨大な米GE製エンジンGE90-115Bや、ランディングギアなどが取り外された状態で、機体は支柱で支えられていた。

 777運航乗員部副部長の足立純一機長は、長く一緒に飛んできた機体だけに寂しさを感じたと振り返る一方、参加者が機体を間近で見ることで、乗務前の外部点検でパイロットが機体に向き合う時の感覚を共有できたことを喜んでいた。

 下田さんは、参加者には自分より専門知識があると感じる人も多く、刺激を受けたといい、改めて仕事を頑張ろうと思ったと、ツアーを振り返った。こうしたイベントへの参加は初めてだったという間瀬さんも、当初は参加者の反応が分からず不安があり、出演を一度断ったものの、実際には反応が良く「やってよかった」と笑顔を見せた。

羽田空港のJAL格納庫でエンジンやランディングを外して売却整備中の退役した777-300ER JA733J=26年9月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港に着陸するJALの777-300ER 3号機 JA733J最終便シカゴ発JL9便=26年5月17日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 JALの777は、777-200初号機(JA8981)が1996年4月26日の羽田発鹿児島行きJL393便で就航し、今年で30周年を迎えた。JALは最盛期には4機種46機の777を運航していたが、すでに国内線機材の777-200、-300と、中距離国際線などを中心に飛んだ-200ERは退役済みで、残るは長距離国際線機材の777-300ER(4クラス244席:ファーストクラス8席、ビジネスクラス49席、プレミアムエコノミークラス40席、エコノミークラス147席)のみ。

 13機導入した777-300ERは、初の退役が4号機(JA734J→N3243P)で、2024年8月20日のシドニー発羽田行きJL52便で運航を終了。その後、初号機(JA731J→N3243F)、5号機(JA735J→N3243Q)、2号機(JA732J→N3243D)、3号機(JA733J)の順で退役が進んで残り8機となり、後継機エアバスA350-1000型機(4クラス239席)への置き換えが進んでいる。

はとバスのJAL 777就航30周年ツアーで航空教室などを担当した(左から)777運航乗員部副部長の足立純一機長、間瀬英明機長、下田遼太副操縦士=26年9月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港のJAL格納庫でエンジンやランディングを外して売却整備中の退役した777-300ER JA733JとGE90-115B=26年9月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港のJAL格納庫でエンジンやランディングを外して売却整備中の退役した777-300ER JA733J=26年9月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港のJAL格納庫で売却整備中の退役した777-300ER JA733J=26年9月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港の格納庫で売却整備中の退役した777-300ER JA733Jのテールスキッド(左)と機体を支える支柱=26年9月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港のJAL格納庫でエンジンやランディングを外して売却整備中の退役した777-300ER JA733J=26年9月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港のJAL格納庫でエンジンやランディングを外して売却整備中の退役した777-300ER JA733J=26年9月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港のJAL格納庫でエンジンやランディングを外して売却整備中の退役した777-300ER JA733J=26年9月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

はとバスのJAL 777就航30周年ツアー参加者が見学したスカイミュージアムの格納庫=26年9月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALスカイミュージアムの見学を終えはとバスに乗車するJAL 777就航30周年ツアー参加者=26年9月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALスカイミュージアム前で出発を待つはとバス=26年9月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関連リンク
JALグループ×はとバスコラボ企画 ボーイング777就航30周年記念 JAL SKY MUSEUM見学とJAL国際線ビジネスクラス機内食ランチ [1](はとバス)
日本航空 [2]

JA733J
JAL 777-300ER 3号機が退役 シカゴからJL9便羽田着、21年で [3](26年5月17日)

はとバス
JALとはとバス、羽田制限区域を巡るツアー ビジネスクラス機内食も [4](25年10月2日)

動画(YouTube Aviation Wireチャンネル [5]
JAL初の777-300ER退役機 元JA734Jが離日 [6]
JAL 777-300ER 新インテリア初号機の機内(JA738J) [7]
【4K】”飛行機の墓場”をJAL 777-200ER初号機JA701Jがローパス【Victorville】 [8]
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