9月1日に供用開始となる羽田空港第1ターミナル北側サテライト。1993年9月の開業以来、1タミでは初の大規模な施設拡張となる。一方、第2ターミナルでも2027年春をめどに北側サテライトをさらに北へ延ばす計画が進む。羽田の第1・第2ターミナルは、なぜ相次いで北へ伸びるのだろうか。

羽田空港第1ターミナル北側サテライト=26年8月25日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
同じ北側への拡張でも、1タミと2タミでは理由が異なる。1タミは老朽化したエプロンを改修するための受け皿として北側サテライトを新設。2タミは国内線のPBB(搭乗橋)付き搭乗口を北側に確保し、南側にある国際線施設を活用する余地を広げる。一方、北へ伸びるほど保安検査場から搭乗口までの距離が長くなるという、共通の課題も抱える。
—記事の概要—
・老朽化対策の1タミ
・国内線を北へ移す2タミ
・遠くなる搭乗口
・南側で1・2タミ接続
老朽化対策の1タミ
1タミは1993年9月27日に開業し、老朽化により駐機場など「エプロン」部分の大規模改修が必要になった。PBBがある既存の搭乗口を順次閉鎖して工事を進めることから、工事中も必要なスポットを確保できるよう、先に北側サテライトを建設した。

羽田空港第1ターミナル北側サテライトから見た本館=26年8月25日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
北側サテライトには24番から29番まで6つの搭乗口を設け、当初は25番から29番までを使用する。9月以降は1タミ本館側のエプロン改修工事に入る。
羽田空港のターミナルを運営する日本空港ビルデング(9706)によると、北端の29番搭乗口は、将来さらに北側へ延伸する場合に対応しやすいよう、日本で最長となる長さ100メートル弱もあるPBBを採用したが、現時点で具体的な延伸計画はない。

羽田空港第1ターミナル北側サテライトの29番搭乗口=26年8月25日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
国内線を北へ移す2タミ
2タミは2004年12月1日に本館が開業し、北側サテライトは2018年12月10日に供用を開始。2025年3月19日には、本館とサテライトを結ぶ接続部が開業した。

羽田第2ターミナル北側サテライト=18年11月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
2タミ本館南側の国際線施設は2020年3月29日に開業。ターミナルの一部国際化や今後の需要増加により、国内線でPBBを使える搭乗口の不足が見込まれたことが、北側の施設拡充につながっている。
2027年春をめどに開業する延伸部分は、現在の北端にある47番搭乗口からさらに北へ伸ばし、隣接する401、402番スポットを発着する航空機もサテライトから乗降できるようにする。搭乗口を増やして国内線の発着を北側へ寄せることで、現在は3タミを発着しているANAの国際線を2タミへ移す余地も生まれる。

延伸が計画されている羽田空港第2ターミナル北側のサテライト(左)。402、401番スポットまで延びる計画だ=25年4月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
遠くなる搭乗口
施設を北へ伸ばすことで課題になるのが、旅客が歩く距離だ。今回開業する1タミ北側サテライトは、最も近いF保安検査場から北端まで968メートルあり、徒歩で約15分かかる。E保安検査場からは1068メートル、約16分となる。

羽田空港第1ターミナル北側サテライトに配備される「iino」の新モデル(手前)と「WHILL」=26年8月25日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
1タミでは移動負担を軽減するため、北側サテライトに「動く歩道」を計10基設置し、自動走行モビリティ「iino」の新モデルも導入。航空機に搭乗する旅客向けの自動運転サービス「WHILL」も運用エリアを北側サテライトまで広げる。一方、従来の連絡バスによる移動を評価する利用者の声もある。
2タミも、最も北側にあるA保安検査場から現在の47番搭乗口までは約700メートル、徒歩で約10分かかる。サテライト延伸後は1タミ側と同じく約1キロに達する見込みだ。このため、羽田を発着する航空各社は、乗客が手荷物を預ける際の締切時刻を前倒しし、9月1日からは出発30分前に締め切る。
南側で1・2タミ接続
北側へのターミナル拡張が続く一方、南側では1タミと2タミをつなぐ計画も進む。国土交通省航空局(JCAB)は両ターミナル南側の首都高湾岸線上に人工地盤を整備し、エプロンの拡張やスポットの新設、両ターミナルを結ぶコンコースなどを整備する。

羽田第2ターミナル北側サテライトの延伸部分は27年春開業予定。南側の緑の部分は両ターミナルの接続部分(国交省の資料から)
国交省は2022年度から人工地盤整備の検討を進めており、基本設計を2026年末までに終える計画。早ければ2030年代前半の供用開始を視野に、旅客が1タミと2タミを往来できるようにするほか、航空機の地上走行距離の短縮や、A滑走路を横断することによる非効率の改善を図る。
1タミでは北側サテライト開業後に既存エプロンの大規模改修が本格化し、2タミでは北側への延伸が続く。その先には南側で両ターミナルを結ぶ計画も控えている。羽田では、老朽化した既存施設の改修と、国内線・国際線の施設配置や空港運用の見直しを並行して進めながら、第1・第2ターミナルが姿を大きく変えようとしている。
関連リンク
羽田空港 [1]
動画(YouTube Aviation Wireチャンネル [2])
・羽田1タミ北サテライトを歩く 入口から26番搭乗口まで [3]
・国内最長!100m弱ある羽田1タミ北サテライト29番搭乗口のPBB探訪 [4]
なぜ日本一長い搭乗橋?
・「日本一長い搭乗橋」なぜ羽田1タミに? 解説・拡張見据えた100m弱”コの字型”PBB [5](26年8月27日)
館内公開
・羽田1タミ、木材生かした北サテライト公開 開業以来初の大規模拡張、国内最長搭乗橋も [6](26年8月25日)
当紙スクープ
・【独自】羽田空港1タミ北サテライト、9/1供用開始 スポット25-34に再編 [7](26年6月25日)
・JAL、羽田1タミ北サテライト9/1から 保安検査場から最大16分 [8](26年8月4日)
2タミ北側サテライトも延伸
・羽田2タミ、サテライト27年春に延伸 保安検査場課題に [9](25年11月6日)
1-2タミ接続
・羽田空港、第1・第2ターミナル接続2030年代に 首都高またぐ人工地盤の設計開始へ [10](25年11月5日)
1-2タミ接続用人工地盤
・国交省の26年度概算要求、羽田空港に692億円 空港整備勘定は4213億円 [11](25年8月28日)
・羽田空港、第1・第2ターミナル接続を国交省検討 首都高上に人工地盤 [12](21年8月27日)
・羽田空港、第1と第2ターミナル拡充 22年着工、エプロン改修も [13](20年12月10日)