日本航空(JAL/JL、9201)を中核とするJALグループは8月28日、航空機の外装を洗うリモコン式機体洗浄ロボット「AW3」を成田空港に導入すると発表した。必要な操作訓練を実施し、年内の本格運用開始を予定している。機種ごとのプログラム指定による自動アプローチ機能などを備えた協働型機体洗浄ロボットの導入は、JALによると国内航空会社で初めて。これまでは夜間を中心に人手で洗浄していたが、ロボットが支援することで、作業員の負担軽減と安全性の向上を狙う。

機体洗浄ロボ「AW3」を操作するJGSのスタッフ=26年8月28日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire
—記事の概要—
・737からA350まで1車種で網羅
・現在は8人がかりで夜間6時間
737からA350まで1車種で網羅
AW3はスウェーデンのAerowash(エアロウォッシュ)社が開発。機種ごとに主翼や尾翼など洗浄する部位をプログラムで指定すると、登録された機体表面近くまでアームが自動で接近する。機体に近接する最終段階では作業員が手元で微調整する協働型。ブラシ先端部にはセンサーとカメラを備え、映像は手元のタブレットで確認できる仕組み。
ロボットは鉛バッテリーで駆動する。4つのタイヤそれぞれが独立して駆動・操舵する「4WS(4輪操舵)」で、狭いエリアを含む全方向移動に対応する。大きさは全長8メートル、全幅2.3メートル、全高2.5メートルで、1車種でボーイング737、767、787、エアバスA350など、ナローボディ機からワイドボディ機まで対応する。Aerowashのカタログ値によると、使用水量は1機あたり最大50%削減できるという。
機材本体には、機種ごとのメニューを登録。「ワイドボディ機の胴体上部洗浄」などのメニューを選択しすると、所定の姿勢まで自動でアームが伸びる。ブラシを機体に触れさせる最終工程は、従来通り人の手を介し細かくコントロールする。一方、アンテナやセンサーが設置される機体上部や、機体前方の防水エリアなどは、従来通り手洗いで対応する。
JALグランドハンドリング企画部BPR推進室企画グループの村上忠マネージャーは、AW3の導入は2019年から検討を始めたと説明。機体を製造するボーイングやエアバスからの承認取得のほか、ブラシ先端部のカメラなど、JAL仕様のカスタマイズに時間がかかったという。
国内でのAW3販売を担うコーレンス(東京・六本木)によると、各国で導入が進んでおり、このうちインドが最多。このほか、マレーシアやカナダの空港でも導入しているという、

JALが成田空港で導入する機体洗浄ロボ「AW3」=26年8月28日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire
現在は8人がかりで夜間6時間
飛行中の機体には油汚れやすす汚れ、火山灰、塩分などが付着する。JALグループは機体外部を90日ごとに洗浄し、成田ではグランドハンドリング(グラハン、地上作業)業務を担うJALグランドサービス(JGS)のスタッフ約30人が担当する。現在は専門スタッフが長い柄の付いたモップや専用の洗剤を使い、夜間の6時間に8人がかりで作業する。
AW3は、従来は2人で洗浄していたエリアを1台でカバーする。導入により高所作業や長時間の力仕事による身体的な負担を軽減するほか、ドライ洗浄などで使う有機溶剤や化学物質に作業員が直接触れるリスクの低減も図る。実際の省人化や生産性向上の効果は、今後の現場運用で検証する。
JALグランドハンドリング企画部BPR推進室企画グループの紀杏築主任によると、現在はJGSのスタッフ3人を対象に、AW3の操作訓練を進めているという。機体洗浄を担うJGS教育センター成田教育グループの須賀原理彦・専任係長も操作訓練を受けており、「手洗いとほぼ同等の感覚でコントロールできている」と説明した。
JALは1990年代半ばにも、有線リモコン式の機体洗浄機を使った作業効率化を試みたが、当時の技術的な制約などから継続運用には至らなかった。今回の導入を約30年ぶりの再挑戦と位置付けている。また、成田での運用を皮切りに、国内のほかの空港への導入も検討する。

従来の方法で機体を洗浄するJGSのスタッフ=26年8月28日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

従来の方法で機体を洗浄するJGSのスタッフ=26年8月28日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

JALが成田空港で導入する機体洗浄ロボ「AW3」=26年8月28日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

機体洗浄ロボ「AW3」を操作するJGSのスタッフ=26年8月28日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

機体洗浄ロボ「AW3」の先端に備えるブラシ=26年8月28日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire


JAL機を洗浄する「AW3」=26年8月28日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

垂直尾翼付近でアームを伸ばす機体洗浄ロボ「AW3」=26年8月28日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

機体洗浄ロボ「AW3」の先端に備えるカメラ映像を表示するタブレット=26年8月28日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

機体洗浄ロボ「AW3」の先端に備えるセンサーを説明するJALグランドハンドリング企画部の紀主任=26年8月28日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

機体洗浄ロボ「AW3」のリモコン=26年8月28日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

機体洗浄ロボ「AW3」の先端に備えるブラシ=26年8月28日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire
関連リンク
日本航空 [1]
Aerowash AW3 [2](コーレンス)
成田国際空港 [3]
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