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ANA、27年3月期純利益43%減960億円予想 26年3月期は過去最高益

 全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)の2026年3月期通期連結決算(日本基準)は、純利益が前期(25年3月期)比10.5%増の1690億7500万円となり、売上高と営業利益、純利益のいずれも過去最高を更新した。旺盛な訪日需要の取り込みに加え、2025年8月に全株式を取得した日本貨物航空(NCA/KZ)の連結化効果もあり、売上高は2兆5392億3300万円となった。

 同時に発表した2027年3月期の通期業績予想のうち、純利益は2026年3月期比43.2%減の960億円を見込む。

—記事の概要—
FSC
貨物・NCA
LCC
財務・為替
27年3月期予想
*JALの決算はこちら [1]

FSC

26年3月期通期決算を発表するANAホールディングスの芝田浩二社長=26年4月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 2026年3月期通期の売上高は12.3%増の2兆5392億3300万円、営業利益は10.6%増の2174億3700万円、経常利益は9.8%増の2196億5100万円で増収増益。営業利益は2025年10月30日に公表した業績見通しを174億円上回った。

 営業費用は12.4%増の2兆3217億円で、営業利益率は0.1ポイント低下し8.6%。航空事業の営業費用のうち、燃油費・燃料税は14.3%増の4723億円、空港使用料は13.1%増の1242億円、整備部品・外注費は8.0%増の2602億円、人件費は12.3%増の2616億円だった。

 売上高のうち、航空事業は全体で12.4%増の2兆3132億円。営業利益は11.5%増の2219億円だった。

 航空事業のうち、ANAを中核とするFSC(フルサービス航空会社)は、国際旅客が9.1%増の8789億円、国内旅客が4.8%増の7380億円、国際貨物が1.7%減の1841億円、国内貨物が0.9%減の228億円だった。

 国際旅客は、訪日需要や日本発レジャー需要を取り込んだ。有償旅客数は11.8%増の902万3000人、座席供給量を示すASK(有効座席キロ)は7.1%増の618億3500万座席キロ、有償旅客を運んだ距離を示すRPK(有償旅客キロ)は12.2%増の513億700万人キロ、ロードファクター(座席利用率、L/F)は3.8ポイント上昇し83.0%だった。旅客収入を有償旅客数で割った単価は2.4%減の9万7414円、ASKで割ったユニットレベニューは1.9%増の14.2円、RPKで割ったイールドは2.7%減の17.1円となった。

 国内旅客は、「ANA SUPER VALUEセール」などでレジャー需要を喚起し、早期取り込みに努めた。有償旅客数は3.6%増の4563万5000人、ASKは1.2%減の464億6900万座席キロ、RPKは4.3%増の367億8000万人キロ、L/Fは4.2ポイント上昇し79.2%だった。単価は1.2%増の1万6172円、ユニットレベニューは6.1%増の15.9円、イールドは0.5%増の20.1円だった。

貨物・NCA

 国際貨物は、アジア発北米向け貨物の取り込みを強化したことで、輸送重量が3.2%増の72万6000トンとなった一方、自動車関連やEコマースの需要減退などで、貨物収入は1.7%減の1841億円だった。

 NCAは、米国の関税政策による中国発北米向け三国間貨物の需要減退の影響を受けたが、10月以降はアジア発欧米向け貨物などを取り込んだ。7月以降の実績は貨物収入が1089億円、輸送重量が31万3000トンだった。ANAHDは2025年8月1日にNCAを完全子会社化し、第2四半期から連結化した。10月からは欧米路線でANAとのコードシェアを開始した。2027年3月期は、中東情勢の影響を除き、ANAとNCAの統合・シナジー効果として200億円を見込む。

LCC

 LCC(低コスト航空会社)事業の売上高は、ピーチ・アビエーション(APJ/MM)が2.9%増の1433億円、エアージャパン(AJX/NQ)によるAirJapan便は19.0%増の139億円となった。AirJapanブランドは3月で休止し、機材と人財をANAブランドの運航に集約する。

 ピーチは、旅客数が3.9%増の945万6000人、ASKは5.2%増の133億7700万座席キロ、RPKは5.1%増の112億7800万人キロ、L/Fは0.1ポイント低下し84.3%だった。単価は1.0%減の1万5155円、ユニットレベニューは2.3%減の10.7円、イールドは2.1%減の12.7円だった。

 AirJapan便は、旅客数が16.7%増の49万9000人、ASKは10.4%増の24億2200万座席キロ、RPKは15.5%増の17億5800万人キロ、L/Fは3.2ポイント上昇し72.6%だった。単価は2.0%増の2万7875円、ユニットレベニューは7.8%増の5.8円、イールドは3.0%増の7.9円だった。

財務・為替

 有利子負債は1兆1717億円で、2025年3月末から1773億円減少した。自己資本比率は37.7%で同6.5ポイント上昇。第1回社債型種類株式(1950億円)の発行や純利益の計上で純資産が増加し、財務体質が改善した。

 営業活動によるキャッシュフローは4434億円の収入、投資活動によるキャッシュフローは4152億円の支出で、フリーキャッシュフローは282億円の黒字だった。期末配当は1株あたり65円とし、2027年3月期は中間配当制度の導入を前提に、年間60円を予定している。

 為替と燃油の通期実績は、為替レートが1米ドル150.3円、燃油費はドバイ原油が1バレル67.1米ドル、シンガポールケロシンが同85.4米ドルとなった。

27年3月期予想

 2027年3月期の通期予想は、売上高が2026年3月期比9.1%増の2兆7700億円、営業利益が31.0%減の1500億円、経常利益が37.6%減の1370億円、純利益が43.2%減の960億円を見込む。中東情勢の影響は第2四半期以降に段階的に解消し、下期に正常化へ向かう前提を置いた。

 芝田浩二社長は会見で、2027年3月期は中東情勢による影響額を約600億円と見込むと説明した。市況急騰による一時的な燃油費増加を、ヘッジや燃油サーチャージ、価格コントロール、コスト削減などで影響を抑え、中東情勢の影響を除けば前年並みの利益水準を計画するという。

 算出前提は、為替が1米ドル155円。ドバイ原油は1バレルあたり4-6月期130ドル、7-9月期100ドル、下期75ドル、シンガポールケロシンは4-6月期200ドル、7-9月期120ドル、下期90ドルとしている。

 国際旅客では、成田発着路線でバンクーバー線などを期間増便し、羽田発着路線ではミラノ線を下期から毎日運航する。国内旅客では、5月19日搭乗分から新運賃体系を導入し、9月以降に燃費効率の高いボーイング737-8(737 MAX 8)を導入する。国内線燃油サーチャージについては、2027年度中の導入に向けて検討を進めている。

関連リンク
全日本空輸 [2]

JAL決算
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(26年4月30日)

中期経営戦略
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決算
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