NASA(米国航空宇宙局)が飛行研究室として運用するボーイング777-200ER型機(登録記号N577NA)が現地時間4月22日、大規模構造改修を終えてバージニア州ハンプトンのラングレー研究センターへ戻った。日本航空(JAL/JL、9201)が運航していた777-200ERの4号機(登録記号JA704J)で、退役したDC-8-72型機(N817NA)の後継として、L3ハリス・テクノロジーズが主体となり改修した。

L3ハリスが元JAL 777-200ERを改修したNASAの飛行研究室(同社提供)
NASAは2022年に元JAL機を取得。初の科学ミッションは2027年1月を予定している。JALの777-200ERでは最初の退役機で、2020年7月1日に羽田から米カリフォルニア州ビクタービルへ向かった。2022年12月15日には、改修先とみられていたハンプトンへ移動していた。
NASAによると、777は確認飛行後、テキサス州ウェイコから約3時間のフェリーフライトでラングレーへ戻った。L3ハリスはユリスタ(Yulista)と組んで改修を担当し、NASAへの引き渡しは予定より5週間早かったとしている。
改修により、客室内に専用の研究ステーションと大規模な配線を設置し、搭載するペイロードシステムがライダーや赤外線画像分光計などのセンサーと連携できるようにした。胴体の窓も拡大し、リモートセンシング機器を搭載するため胴体下部にオープンポータルを設けた。補強材4層に約3万5000個の精密な穴を開けたという。
初の科学ミッションは、2027年1月開始予定のNURTURE(North American Upstream Feature-Resolving and Tropopause Uncertainty Reconnaissance Experiment)。寒気流入や強風、雪氷嵐、危険な海象など、影響の大きい冬季気象を調査する。観測範囲は北米、欧州、グリーンランド、北極圏、北大西洋にまたがる。

売却先へのフェリーフライトで羽田空港を出発するJALの777-200ER初の退役機JA704J=20年7月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
DC-8と比べ、運用能力も拡大。NASAによると、搭乗できるオペレーターは50人から100人、機器搭載量は7万5000ポンド、飛行時間は最大18時間で、L3ハリスによると、最大高度4万3000フィートで運用できるという。NASAのDC-8は最大12時間飛行でき、実験装置は3万ポンド搭載、実験者は最大42人だったことから、航続時間、搭載量、運用人数のいずれも上回る。
L3ハリスは、3Dスキャンや専用の設置ツールなどの技術を使い、幅広い科学ペイロードを載せられるよう改修。777はNASAの保有機では最大の航空科学向け飛行研究室になる。主な構造改修はL3ハリスがユリスタと組んで実施し、客室内の研究ステーションと配線の更新はNASAとHIIが進めている。
NASAが運用していた元JAL機では、スペースシャトルの輸送機として747SR(JA8117→N911NA)があり、2012年2月8日に退役済み。

元JAL 777-200ERを改修したNASAの飛行実験室(NASAのサイトから)

L3ハリスが元JAL 777-200ERを改修したNASAの飛行実験室(同社提供)

L3ハリスが元JAL 777-200ERを改修したNASAの飛行実験室(同社提供)

L3ハリスが元JAL 777-200ERを改修したNASAの飛行実験室(同社提供)
22年にNASA取得
・NASA、元JALの777-200ER導入へ 空飛ぶ実験室DC-8後継 [3](23年1月3日)
20年7月に離日
・JAL、初の777-200ER退役機が鶴丸ロゴのまま離日 JA704Jがビクタービルへ [4](20年7月1日)
21年10月に抹消登録
・ANAのA380 3号機やHACのATR 3号機が新規登録 国交省の航空機登録21年10月分 [5](21年11月13日)
JALのDC-8 FUJI号
・JAL、ニコ超にDC-8「FUJI号」空の一流ホテル展示 [6](17年4月29日)
・JAL、「空の貴婦人」DC-8富士号を陸送 [7](14年3月29日)