ボーイングは現地時間2月11日、787-8の6機あった飛行試験機のうち、最後まで残った4号機「ZA004」(登録記号N7874)がラストフライトを終え、退役したと明らかにした。約16年にわたり飛行試験プログラムを支え、787の性能や安全性、整備基準の確立に貢献してきた機体で、今後は米アリゾナ州マラナのピナル・エアパーク(Pinal Airpark)で保管される。

ボーイング・フィールドを離陸する787-8飛行試験4号機ZA004(同社の動画から)
ZA004は、2010年2月24日に初飛行。これまでに670回以上の試験飛行を重ね、累計飛行時間は2250時間以上に達した。世界の30空港以上に飛来し、2011年には787として通算1000回目のフライトを担当するなど、開発段階の節目となるミッションを数多く担ってきた。2017年8月3日には、約18時間におよぶ耐久試験飛行を実施し、米国22州以上の上空で787とみられる飛行機の絵を“一筆書き”で描いた(関連記事 [1])。

ZA004が17年8月3日の約18時間におよぶ耐久試験飛行で描いた飛行機(フライトレーダー24から)
エンジン面では、ロールス・ロイス製787用エンジン「Trent 1000(トレント1000)」のすべての派生型の認証試験をサポートし、2025年には耐久性が向上した「Trent 1000 XE」の認証にも貢献した。2014年にはボーイングの環境技術実証プロジェクト「エコデモンストレーター」の2号機として運用され、燃費向上や排出ガス削減など25以上の新技術の検証に用いられた。
電気系統の検証にも活用され、飛行試験機ZA002(787-8、N787EX)での電気系トラブルを受けて一時中断していた試験プログラムの再開時には、改良された電力配分システムソフトウエアを検証する最初のフライトを担当した。ボーイングの787プログラムでチーフプロジェクトエンジニアを務めるジョン・マーフィー氏は、ZA004の役割について「設計コンセプトを日常の安全性や効率、能力へと変換することで、未来を現実のものにした」と評価している。

ボーイング・フィールドを出発する787-8飛行試験4号機ZA004(同社の動画から)

ボーイング・フィールドを出発する787-8飛行試験4号機ZA004(同社の動画から)

ボーイング・フィールドで放水アーチをくぐる787-8飛行試験4号機ZA004(同社提供)
ラストフライトはシアトル近郊のボーイング・フィールドからピナル・エアパークまでで、初飛行時と同じ「Boeing 004」のコールサインが使用された。初飛行で操縦桿を握ったヘザー・ロス機長とクレイグ・ボンベン機長が再びコックピットに入り、長年ZA004を支えてきたフライトアナリストらとともに、有終のフライトに臨んだ。
退役に先立つ2月3日の最終試験飛行では、ボーイング・フィールドに帰還したZA004を同社の消防チームがウォーターキャノンで出迎えた。また、1月30日には従業員向けのイベントが開かれ、ラストフライトに搭載されたゲストログ(署名帳)に関係者がサインし、社内資料として保管されるという。
ZA004は退役後も、ピナル・エアパークで保管されながら787の学習や開発に活用される。一部の部品は訓練や研究用途に使われ、その他の部品はボーイング・グローバル・サービス(BGS)を通じて運航中の787向け交換部品や予備品として供給される。
マーフィー氏は「この飛行機は、私たちの多くがボーイングに加わった理由を体現している。飛行機を愛し、畏敬の念を抱かせるイノベーションに取り組む機会そのものだ」と述べ、16年にわたる試験機としての歩みに別れを告げた。
787は標準型で最初に開発された787-8(メーカー標準座席数:2クラス248席)、長胴型の787-9(同296席)、超長胴型の787-10(同336席)の3機種で構成。ボーイングは787-8の飛行試験機を6機製造し、初号機ZA001(N787BA)は中部空港(セントレア)に寄贈された。
2号機ZA002は米アリゾナ州・ツーソンのピマ航空博物館(Pima Air & Space Museum)、3号機ZA003(N787BX)はシアトルの航空博物館(Museum of Flight)へ寄贈されたが、GE製GEnxを搭載した5号機ZA005(N787FT)はスクラップとなった。同じくGEnxを積む6号機ZA006(N787ZA)は、メキシコ空軍が運用する政府専用機となった後、現在はタジキスタンの政府専用機となっている。

ボーイング・フィールドを離陸する787-8飛行試験4号機ZA004(同社提供)

ボーイング・フィールドを出発する787-8飛行試験4号機ZA004(同社の動画から)

ボーイング・フィールドを出発する787-8飛行試験4号機ZA004(同社の動画から)

ボーイング・フィールドを離陸する787-8飛行試験4号機ZA004(同社の動画から)

ボーイング・フィールドを離陸する787-8飛行試験4号機ZA004(同社の動画から)

ボーイング・フィールドを離陸する787-8飛行試験4号機ZA004(同社の動画から)

ボーイング・フィールドを離陸しピナル・エアパークへ向かう787-8飛行試験4号機ZA004(同社の動画から)
関連リンク
Boeing [2]
ボーイング・ジャパン [3]
ZA004
・ボーイング、787-8で一筆書き 18時間の飛行試験で [1](17年8月6日)
ZA001
・中部787施設「Flight of Dreams」オープン 一番乗りは前日夜 [4](18年10月12日)
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ZA003
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ZA005
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