日本航空(JAL/JL、9201)は10月31日、ボーイング767型機の就航40周年を記念するイベントを成田空港で開いた。パイロットと整備士が企画した2日間のイベントで、1日目は「本気の航空教室」や格納庫での機体・エンジン見学などを開催。就航記念日にあたる11月1日は成田を発着する記念チャーター便を運航し、熱心なファンに767の魅力を存分に伝える。

JALの767就航40周年記念イベントの「本気の航空教室」に臨む参加者=25年10月31日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire
—記事の概要—
・2日間イベント倍率5.9倍
・「パイロットの技量が操縦に出る」
・現役機材は767-300ERのみ
2日間イベント倍率5.9倍
「本気の航空教室」はパイロットらが講師役となり、パイロットが文字とイラストを手書きした全14ページのテキストを使用した。参加者は767の翼端に付くウイングレットの仕組みなどを学んだ。エンジンの整備工場では、767に搭載するGE製エンジンCF6のほか、他機種のエンジンも見学。講師役の整備士が説明すると、大多数の参加者が熱心に耳を傾けた。
格納庫では、翌日の記念チャーターに投入する767-300ER(登録記号JA617J)を見学。コックピットへの着座体験のほか、機体周りをくまなく見学した。参加者はコックピットでの記念撮影や、機体細部の撮影などを楽しんだ様子だった。このほか、767に搭載する部品を展示し、講師役に熱心に質問する姿も多くみられた。
記念イベントは宿泊を含まない2日間で、約890人が応募。31日のイベントには抽選で145人が参加し、倍率は約5.9倍となった。

JALの767就航40周年記念チャーターに投入する機材を撮影する参加者=25年10月31日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

JALの767就航40周年記念イベントでCF6エンジンを見学する参加者=25年10月31日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

JALの767就航40周年記念イベントの「本気の航空教室」で使用した手書きテキスト=25年10月31日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

JALの767就航40周年記念イベントの「本気の航空教室」で使用した手書きテキスト=25年10月31日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire
「パイロットの技量が操縦に出る」

JALの767就航40周年記念イベントを発案した鈴木機長=25年10月31日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire
今回の記念イベントは、767の飛行訓練教官を務めるJAL運航訓練部767訓練室の鈴木伸二郎機長が発案した。鈴木さんは2003年の入社後、2007年に767の副操縦士に昇格し、2015年から2019年まで787に機種変更したものの、その後は再び767に乗務。2023年に機長へ昇格し、今年4月からは訓練教官を務めている。
鈴木機長は「777や787などと比べると操縦が難しい。パイロットの技量が操縦にそのまま現れるいい機材」と評価。経済性や「ちょうどいい大きさ」(鈴木機長)で、日本の空にフィットし40年間飛び続けているとの認識を示した。また767の整備は自動化が進んでいないことから、愛着を持つ整備士も多いという。
今回の企画は「パイロットと整備が融合し、マニアに刺さる企画にした」と説明。767はエアバスA350型機など最新機材に比べるとファンの母数があまり多くないが、魅力をとことん感じてもらえるように企画したという。
現役機材は767-300ERのみ
JALは767-200の同社向け初号機(JA8231)を1985年7月23日に受領。就航は同年11月1日で、羽田-福岡線で運航していた旧ダグラス(現ボーイング)DC-10型機から機材更新し投入した。
767はデジタル技術を全面導入し、アナログ計器を使用しない「グラスコックピット」を採用。航空機関士が不要で、2人乗務が可能な機種だった。
767を4機種60機発注。内訳は旅客型の-200が3機、-300が22機、-300ERが32機、貨物型の-300Fが3機で、2011年12月に32機目の767-300ER(JA659J)を受領し、
全60機が完納となった。現在は767-300ERのみを27機保有し、国内線は3クラス252席のA25仕様(ファースト5席、クラスJ 42席、普通席205席)が9機、2クラス261席のA27/A28仕様(クラスJ 42席、普通席219席)が7機、国際線は2クラス199席のA44仕様(ビジネス24席、エコノミー175席)が8機。国内線のほか、東南アジアなどの近距離路線に投入する。
また3機を貨物機の767-300BCFに改修。2024年2月19日に就航し、日本-アジア間の貨物定期便に投入している。BCF」はボーイング・コンバーテッド・フレーターの略で、最大搭載重量は客室だった「メインデッキ」の上部貨物室が32トン、改修前からある床下の下部貨物室が16トンの計48トンで、上部にはパレットを24台、下部にはパレット3台に加え、コンテナを9台搭載できる。

記念デザインのヘッドレストカバーを備えチャーター便への投入を待つJALの767-300ERのビジネスクラス=25年10月31日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

記念デザインのヘッドレストカバーを備えチャーター便への投入を待つJALの767-300ERのエコノミークラス=25年10月31日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

JALの767就航40周年記念のヘッドレストカバー=25年10月31日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

JALの767就航40周年記念イベントでコックピットで撮影役を買って出る副操縦士(右)=25年10月31日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

JALの767就航40周年記念イベントでパーツ類を学ぶ参加者=25年10月31日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

JALの767就航40周年記念イベントでパーツ類を見学する参加者=25年10月31日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

JALの767就航40周年記念イベントでパーツ類を撮影する参加者=25年10月31日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

機体との記念撮影を楽しむJALの767就航40周年記念イベントの参加者=25年10月31日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

機体撮影を楽しむJALの767就航40周年記念イベントの参加者=25年10月31日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

機体撮影を楽しむJALの767就航40周年記念イベントの参加者=25年10月31日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

機体撮影を楽しむJALの767就航40周年記念イベントの参加者=25年10月31日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

機体撮影を楽しむJALの767就航40周年記念イベントの参加者=25年10月31日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

JALの767就航40周年記念イベントでCF6エンジンを見学する参加者=25年10月31日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire
関連リンク
日本航空 [1]
ボーイング767-300ER(763)/ 機内座席配置 [2](JAL)
767-300BCF
・JAL、貨物機13年ぶり復活 767-300BCFで投資抑制、DHLと長期契約 [3](24年2月19日)
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導入30周年イベント
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