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那覇を離陸直後にモバイルバッテリー2つ発煙 羽田行きNH994便、すぐ収束

 10月9日午前11時ごろ、全日本空輸(ANA/NH)の那覇発羽田行きNH994便(ボーイング787-10型機、登録記号JA981A)が那覇空港を離陸直後、乗客が機内に持ち込んだモバイルバッテリーから煙が出た。気づいた隣の乗客が水を掛けて煙はすぐに収まり、安全が確認されたため、予定通り運航を続けた。

那覇を離陸直後に乗客のモバイルバッテリーから煙が出たANAの787-10 JA981A(資料写真)=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 NH994便は、使用機材がこのトラブルとは別の理由で那覇への到着が遅れたことから出発時刻が定刻より38分遅れ、午前10時43分に乗客345人(幼児6人含む)と乗員11人(パイロット2人、客室乗務員9人)を乗せて那覇空港の35番スポットを出発。午前10時59分に第1滑走路(RWY36R)を離陸直後、モバイルバッテリーの発煙トラブルが起きた。

 ANAによると、煙が出たモバイルバッテリーを所持していた乗客は、全部で4つ持ち込んでおり、このうち2つが発煙。残り2つは客室乗務員が機内に備え付けの「Fire Resistant Bag(耐火バッグ)」に入れて羽田まで保管した。煙が出たバッテリーは、2つとも発火していないことを確認し、運航を続けた。

 羽田には午後1時12分にA滑走路(RWY34L)へ着陸。同21分に57番スポットへ到着した。このトラブルによるけが人はなく、ほかの便への影響もなかった。

 モバイルバッテリーが原因の航空機火災やトラブルが海外で相次いだことから、国土交通省航空局(JCAB)はモバイルバッテリーの機内持ち込み方法を7月8日から変更。頭上の手荷物収納棚(オーバーヘッドビン)には収めず、手元で保管するよう求めており、今回も座席下に置かれていた乗客の手荷物の中にモバイルバッテリーがあった。ANAによると、7月8日の変更後では、初のモバイルバッテリーに関するトラブルだという。

 海外の航空会社では、機内でのモバイルバッテリーの使用を禁止する航空会社が増えており、機内持ち込みできる個数も1個に限定するなど、厳格化する傾向にある。モバイルバッテリーの主な製造国とみられる中国では、中国民用航空局(CAAC)が「3C認証」マークのないモバイルバッテリーを中国国内線の機内へ持ち込むことを6月28日から禁止している。

 今回のトラブルでは、1人の乗客がモバイルバッテリーを4つ持ち込んでいたことから、航空局が今後の扱いをどのように判断するかも注目される。

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全日本空輸 [1]

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