エアバスは現地時間6月26日、A400M輸送機に搭載する空中消火装置による消火剤の投下試験が成功したと発表した。山火事などが発生した際、最大2万リットルの水や消火剤を機体後部から投下でき、短時間で消火装置の搭載や運用が可能な設計になっている。

空中から消化剤を投下するA400M(エアバス提供)
試験では高度30メートル未満、時速約230キロで複数回の投下を行い、地表に設置した容器を使った「カップグリッド法」で分布や濃度を測定した。空中消火装置はロールオン/ロールオフ方式で、A400Mの貨物室に装着する構造。恒久的な機体改修を必要とせず、着脱も容易にできる構造になっている。投下は機体後部ランプから重力で行い、装置の再充填は10分以内に完了できるという。
試験は南仏ニーム=ギャロンで今年4月下旬に実施。フランス内務省の認可を受けた森林火災評価機関「CEREN(森林火災試験・研究センター)」が評価した。
A400Mはターボプロップエンジン4基で飛行する輸送機で、短距離・未舗装の滑走路でも離着陸でき、火災現場近くの飛行場などからも運用できる。高い機動性と夜間を含む柔軟な運用性も備えており、エアバスは地上・空中・宇宙の技術と組み合わせた総合的な消火エコシステム構築に向けた装備と位置づけている。
A400Mの空中消火装置は、2022年からスペインでプロトタイプによる試験を実施しており、今回は実用化を視野に入れた性能評価となった。

空中から消化剤を投下するA400M(エアバス提供)

エアバスA400M(同社提供)
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