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JAC、親子機長で父のラストフライト 息子「越えなくてはいけない壁」

 日本エアコミューター(JAC/JC)で3月4日、国内の航空会社でパイロットの定年となる68歳を1週間後に迎える河野秀之機長(67)と、息子の河野翔機長(38)による親子フライトが行われ、父親の秀之機長は奄美大島発鹿児島行きJL3724便(ATR42-600型機、登録記号JA09JC)がラストフライトとなった。

ラストフライトを親子乗務で迎えた父の河野秀之機長(左)と息子の翔機長(JAC提供)

奄美空港を離陸するJACのATR42(資料写真)=PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 秀之機長は東亜国内航空(TDA、JASに改称を経てJALと統合)に入社後、日本航空機製造YS-11型機、ダグラスDC-9型機、マクドネル・ダグラスMD-90型機に乗務し、ボーイング777型機では国際線もフライトした。JACは日本航空(JAL/JL、9201)のグループ会社で鹿児島空港を拠点としており、同社ではターボプロップ(プロペラ)機のボンバルディアQ400(現デ・ハビランド・カナダDash 8-400)型機と、後継機として導入された仏ATR製ATR42-600型機に乗務してきた。

 「息子ではあるものの、良き同僚」と、秀之機長は翔機長を評価。パイロットとして、これまでに思い出に残ったフライトは「マーシャル諸島へのフェリーフライト(回航)が印象深い内容でした」と振り返った。

河野秀之機長がかつて乗務したQ400=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 親子で同じ会社に勤めていても、一緒に乗務する機会はあまりなかったという。翔機長は「同乗したことがほとんどないので、運航面はわかりかねるのですが、教育者として偉大であると皆様から聞いており、誇りに思います」と話す。「同時に、越えなくてはいけない壁だと感じています」と、これからは秀之機長を越える教育者を目指していくという。

 秀之機長にとって、航空会社で最後に操縦桿を握る機種となったATR42については、「高翼機なので、お客様にはどの席でも景色を堪能していただける機体です」と、離島間路線を飛ぶことが多いJACでは、島や海など豊かな自然を機内からも楽しんでもらえるという。翔機長も「地上を楽しみながら飛行できますね」と、パイロットとしてもフライトを楽しめる点を挙げた。

 秀之機長と翔機長は、鹿児島を午前8時48分に出発した奄美大島行きJL3725便と、折り返しの鹿児島行きJL3724便に乗務。秀之機長のラストフライトとなったJL3724便は午前10時32分に奄美大島を出発し、定刻より6分早い午前11時29分に鹿児島へ到着した。翔機長は「父だけでなく、同乗してくれる祖母、母に対して親孝行ができました」と、教育者としての目標である父のラストフライトを、家族で迎えられたことを喜んでいた。

 「親子フライトが最後に実現でき、一区切りがついた思いです」と、秀之機長はパイロットとしての節目を翔機長と迎えられたことがうれしくもあり、父親としても思い出深い日になったようだった。

河野秀之機長のラストフライト(定刻/実績)
JL3725 鹿児島(8:45/8:48)→奄美大島(10:00/9:57)
JL3724 奄美大島(10:30/10:32)→鹿児島(11:35/11:29)

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