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「エアラインの常識は世間の非常識」特集・ZIPAIR西田社長に聞く中長距離LCCの勝ちどころ(終)

 前回 [1]からの続き。日本航空(JAL/JL、9201)が100%出資する中長距離LCCのZIPAIR(ジップエア、TZP/ZG)は、4機のボーイング787-8型機(2クラス290席)で、成田-バンコク、ソウル(仁川)、ハワイのホノルル、シンガポール、ロサンゼルス、サンノゼの国際線6路線を運航している。

ボーイングの製造問題などで新造機の受領が遅れているZIPAIR。JALからの転籍機4機で国際線6路線を運航している=22年10月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 LCCとして初の太平洋横断を2021年12月開設のロサンゼルス線で果たしたが、ボーイングの製造問題などがあり、機材調達には苦労が伴った。現在の4機は、すべてJALが運航していた初期受領機を改修したもの。当初は新造機を予定していた3号機と4号機も改修機とすることで、1年に2機ずつ増やしていく機材計画を死守した形だ。

 待ちに待った初の新造機となる5号機(登録記号JA850J)は、今年度内に受領できる見通し。西田真吾社長は、2023年の新路線は「3都市いきたい」と話す。

 拠点とする成田空港では、2029年3月末に予定している第3滑走路(C滑走路)の新設に合わせ、現在3カ所ある旅客ターミナルを1カ所に集約するなど、機能強化の動きが進みつつある。

 インタビュー最終回の今回は、ZIPAIRのこれからと、成田の機能強化について聞いた。

—記事の概要—
10機体制で次の挑戦権獲得
需要太いところを攻める
成田強化に未来
エアラインの常識は世間の非常識
(1)「この値段だったら」のお客様増える [2]
(2)貨物だけで初便就航「考えたこともなかった」 [1]

10機体制で次の挑戦権獲得

── 2020年6月に就航し、本来であれば3号機は新造機になる予定だった。

西田社長:ボーイングの新造機が遅れる、となった時にJALが「早めに客室改修して出そう」とやってくれたのがありがたかった。

JALの787就航10周年で成田空港の格納庫にJALの787-8 JA835Jとともに並べられたZIPAIRの787-8 JA822J。10年前に就航した初期導入機がZIPAIRを支えている=22年4月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 2023年度末には8機になる計画なので、事業規模が倍になる。その後は、2025年度末までに10機を予定している。

 その先の計画までは立ててないが、(年2機ずつ増やす)このぐらいのペースで成長していきたい。東南アジアのLCCにみたいに、「何十機発注しました」という記者会見はやってみたいが、やはり我々は破綻も経験しているので、石橋を叩いて叩いて、だけど成長はする、というようにいきたい。

── 初期製造の787は機体の重量が設計値より重く、燃費の良さが計画値に達しないなどの問題があったが、影響はあるか。

西田社長:われわれの運航では