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ILS停波は着陸の障害にならない 特集・アシアナ機事故とヒューマンファクター(番外編)

 アシアナ機事故の当日の7月6日(現地時間)、サンフランシスコ国際空港の滑走路(28L)のILS(計器着陸装置:Instrument Landing System)は工事のため停波していた。当初、これが事故に関係している可能性があると報じられたが、天気の良い状況下において、それはあり得ないだろうと筆者は考える。

 ILSは電波を用いて、航空機に対し適切な方位(この例では磁方位281度:特集第2回 [1]で掲載したチャート参照)と降下角(一部の例外を除き接地点から3度の角度)、および滑走路までの距離を与える装置で、航空機に搭載された計器と組み合わせれば、遠距離から滑走路が見えないような悪天候時でも進入が可能だ。

 オートパイロット(自動操縦装置)にILSをカップリング(接続)すれば、空港の滑走路によっては全自動で飛行機を着陸させられるほどの性能を持っている。大部分のILSは、対地200フィートくらいまで自動で進入できる。

ILSが使えなくてもパイロットは困らない

 空港に設置されている各種装置が利用できない状態にある場合は、NOTAM(ノータム:Notices to Airmen)と呼ばれる情報により、あらかじめ全世界の運航関係者に通知される。アシアナ機(ボーイング777-200ER型機、登録番号HL7742)のパイロットたちも、韓国を出発する前に当然知っていたはずだ。