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英BAE、クイーン・エリザベス横須賀寄港で技術紹介 F-35着艦模擬訓練も

 航空宇宙防衛大手の英BAEシステムズは9月6日、横須賀に寄港している英海軍の最新鋭航空母艦HMSクイーン・エリザベス(R08)をはじめとする空母打撃群で採用されている同社の技術を紹介した。

横須賀に寄港する英空母クイーン・エリザベス(海自横須賀地方総監部のTwitterから)

 クイーン・エリザベスをはじめ、英海軍の空母打撃群を構成する艦艇は、BAEが設計・製造。統合したCMS(戦闘管理システム)を採用。同艦ではARTISANレーダーや管制システムなどを統合し、艦載機であるF-35B「ライトニングII」の開発・製造、パイロット訓練をサポートしている。

 また、VR(仮想現実)とAR(拡張現実)を用いたシミュレーション環境も構築。パイロット向けには、F-35による空母への着艦訓練を提供しており、機体の振動や空母の動き、風向き、風の強さなどを変化させ、現実的な運用をリアルタイムに反映できる。

 艦艇搭載型フライトシミュレーターも配備され、海上でもパイロットが緊急手順のトレーニングや作戦訓練が受けられるようになっている。

 空母をはじめ艦艇の整備では、AIにより同艦に使用している部品の寿命や修理の必要性を予測し、データをドック入り前に陸上のチームに送信。将来的には、ドック入りした際には必要な部品や工具がそろっているよう、スケジュールの最適化につなげるという。

 空母打撃群のDCAM(デジタル能力保証モデル)も、BAEが英海軍や英国防省と協力して開発。人員や部材、エンジンの状態など別々に保管されているデータを、一元化されたセキュアなデータ分析端末からアクセスできるようにする。英海軍は2025年までに完全デジタル化を目指しており、DCAMは実現に向けて重要な要素となる。

 クイーン・エリザベスはクイーン・エリザベス級空母の1番艦で、2017年12月7日に就役。同型艦はHMSプリンス・オブ・ウェールズ(R09)で、2019年12月10日に就役している。クイーン・エリザベス級空母が日本に寄港するのは初めてで、4日から9日まで米海軍横須賀基地に停泊する見込み。5月に英国を出航後、インド洋などを経て到着した。

 海上自衛隊の護衛艦いずもの艦載機も、F-35Bを選定している。

F-35シミュレーター(BAE提供)

F-35シミュレーター(BAE提供)

英空母クイーン・エリザベス(BAE提供)

関連リンク
HMS Queen Elizabeth [1](Royal Navy)
Royal Navy [2]
BAE Systems [3]

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