保安検査は長蛇の列　搭乗記・定期便ない羽田－仙台ANA/JAL臨時便

　2月13日夜に起きた福島県沖を震源とする地震の影響で、一部運休が続いている東北新幹線が、24日の始発から全線で運転を再開する。これに伴い、航空各社が14日から運航してきた臨時便や機材の大型化は徐々に収束し、月内には役割を終える見通しだ。

　通常は羽田発着の定期便のない仙台にも、10年前の東日本大震災以来となる臨時便が運航された。羽田発着で見ると、同じく定期便を運航していない福島や花巻への臨時便が、山形線や秋田線、青森線、三沢線といった定期便の臨時便に加えて設定された。

　実際に羽田－仙台間の臨時便を利用してみると、臨時便ゆえの課題も見えた。

—記事の概要—
・行きはANA、帰りはJAL
・保安検査に課題も
・写真（仙台行きNH1501便→仙台離着陸便→羽田行きJL4920便）
＊なぜ羽田－仙台定期便は飛んでいないのか。記事はこちら ^[1]。

行きはANA、帰りはJAL

　私はもともと、19日に仙台空港で取材を予定していたため、臨時便を使ってみることにした。仙台行きは全日本空輸（ANA/NH）のNH1501便、帰りの羽田行きは日本航空（JAL/JL、9201）のJL4920便を利用した。

　当初は19日の臨時便の販売を先に始めたANA便を往復とも予約していたが、ANAの株主優待券を買いに出掛けた後、航空券の決済をすっかり忘れて予約を失効させてしまい、改めてNH1501便は株主優待運賃、JL4920便は特便割引で購入した。もともと予約していたNH1508便は仙台発が午後8時10分と少し遅いこともあり、午後6時発のJL4920便に変更したのだった。

　午前6時すぎに羽田の第2ターミナルへ到着し、午前7時発の仙台行きNH1501便に乗った。機材はエアバスA321neo（2クラス194席）が投入されており、搭乗率は6割強くらいだろうか。A321neoの普通席は1列6席だが、多くの列は窓側と通路側に乗客が乗っており、後方は窓側のみ埋まっている列が多く見られた。8時ごろに仙台空港へ着いて市内には9時ごろ入れる分、6時半前には羽田へ着かなければならないというのが、乗客がやや少なめかなと感じた要因かもしれない。

　出発すると、C滑走路（RWY34R）から離陸し、左手にレインボーブリッジや東京都心部、遠方に富士山を望みながら仙台へ向かった。

　一方、午後6時発の羽田行きJL4920便はボーイング737-800型機（2クラス165席）がほぼ満席。ひさびさにパンパンになった機内を体験した。羽田には7時ごろ着くので、多くの人が9時ごろまでには目的地に着ける時間設定だと言えそうだ。

　午後6時すぎの仙台はすでに暗く、出発した機内からは「SENDAI AIRPORT」の赤い文字が見えた。

　機内サービスは、いずれの便もドリンクサービスがあり、NH1501便ではコーヒー、JL4920便ではコーラを飲んだ。機内販売も行っており、客室乗務員たちは手際よく後片付けなどをしていた。

　機内や空港の様子などは、記事本文下の写真をご覧いただきたい。

保安検査に課題も

　今回は羽田－仙台間の臨時便を往復とも利用してみたが、羽田行きのように普段よりも乗客数が多い臨時便を地方空港から運航する上で、課題も感じられた。

　19日の仙台空港の保安検査場は、昼過ぎから混雑していた。保安検査場に並ぶ行列に対して目立った誘導がなく、乗務員が使うクルーレーンに並んでしまう人がかなりいた。

　羽田行きJL4920便の場合、出発1時間前となる午後5時すぎには長蛇の列ができていた。昼間の混雑時と比べて2倍くらいの人が並んでおり、搭乗手続きの締切時刻である午後5時40分になっても、保安検査場に入れない人が多かった。

　私は午後5時40分ちょうどぐらいに検査場へ入ることができたが、最初は搭乗時刻を過ぎた手続きとして機械にはねれてしまい、JALの地上係員がすぐに対処してくれて事なきを得た。

　保安検査場は警備会社が担当しているが、検査そのものが混雑しており、検査係員が持ち場から全容を把握しにくい出発ロビーの行列までケアするのは、現実的ではないだろう。航空会社も、検査場に並ぶ人がすべて自社の乗客とは限らないので、施設を運営する空港会社が行列を整理するのが落とし所ではないだろうか。

　検査場付近には館内を警備する警備員は配置されていたものの、出発時刻が近づいても行列が解消されない場合にはどう誘導するかなどまでは、具体的な指示はなかったのでは、という印象を受けた。また、羽田－仙台間は前述のように定期便がなく、飛行機に乗り慣れていない人が多くなる可能性も想定した対応が必要だろう。

　東北新幹線が不通になった際、多くの人に役立った東北方面の臨時便。一方で、短時間に乗客が集中するなど、普段のオペレーションとは違った難しさが現場にはあったのではと感じた。これを機に、東北と各地を結ぶ新たな空路の活用方法が議論されて欲しいものだ。

＊写真は22枚（仙台行きNH1501便→仙台空港を離着陸する便→羽田行きJL4920便）

仙台行きNH1501便

仙台空港を離着陸する便

羽田行きJL4920便

関連リンク
仙台国際空港 ^[2]
日本航空 ^[3]
全日本空輸 ^[4]
JR東日本 ^[5]

定期便はなぜ飛んでいないのか
・なぜ羽田－仙台定期便は飛んでいないのか　臨時便は受験生も利用 ^[1]（21年2月23日）

復興空港ピアノ
・仙台空港、復興ピアノ「ローラ」お披露目　東日本大震災で海水浸る ^[6]（21年2月20日）

臨時便
・JAL、東北臨時便24日まで4路線　新幹線全線再開で ^[7]（21年2月20日）
・ANA、羽田－仙台のみ臨時便　24日から27日 ^[8]（21年2月18日）
・IBEX、伊丹から東北臨時便　仙台・福島へ、19日から ^[9]（21年2月17日）
・スカイマーク、羽田－仙台臨時便　18日から1日1往復 ^[10]（21年2月17日）
・JALとANA、定期便ない仙台・福島など臨時便　16日も運航 ^[11]（21年2月15日）