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航空業界の21年売上高、新型コロナ前の半分に IATA見通し、需要回復遅れ影響

 IATA(国際航空運送協会)は現地時間10月27日、2021年の航空業界全体の売上高について、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行前の2019年と比較して約半分に落ち込むとの見通しを発表した。また各国政府に対し、航空会社の財政維持や大規模な解雇を回避に向け、支援を改めて呼びかけた。

IATAの見通しによると21年の航空業界売上高は新型コロナ前の約半分に(資料写真)=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 2021年の航空業界全体の売上高は、8380億ドルだった2019年と比較し46%減の4525億ドルとなる見込み。各国政府による渡航制限や検疫措置の強化のほか、欧州を中心として新型コロナが再拡大したことから、需要回復がさらに遅れると予測した。従来は今年10-12月期(第4四半期)に需要が回復するとの見通しから、29%減の5950億ドルになると予想していた。

 また、座席供給量を示すASK(有効座席キロ)を従業員数で割った「労働生産性」について、2019年の水準を維持する場合、40%の人員を削減する必要があるとの見通しも示した。人件費をここ数年で最も低い水準に下げるためには、現状から52%の雇用や賃金のさらなる削減も必要だとしている。

 IATAのアレクサンドル・ド・ジュニアック事務総長兼CEO(最高経営責任者)は、今年10-12月期の状況について「非常に困難」と述べ、2021年前半については「国境の閉鎖や到着時の検疫が続く限り、大幅に良くなるという兆候はほとんど見られない」との見通しを示した。

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