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ボーイング、納入前の787-10で騒音検証 地上にマイク1000個

 ボーイングは、エティハド航空(ETD/EY)に納入前の787-10型機(登録記号A6-BMI)を使用し、飛行中の環境性能などの検証を進めた「ボーイング・エコ・デモンストレーター・プログラム」について、9月23日に概要をオンラインで説明した。引き渡し前の機体を用いて、排出ガスと騒音の削減を検証した。同プログラムの検証に787-10を活用するのは初めて。

ボーイングがエティハド航空の787-10で展開したエコ・デモンストレーター(ボーイング提供)

 同機はエティハド航空が今秋に受領する機体で、同社に引き渡す前の8月下旬から9月初旬まで、米モンタナ州グラスゴーにあるボーイングの施設のほか、ワシントン州シアトルとサウスカロライナ州ノースチャールストン間を飛行し、検証を進めた。騒音の検証には、NASA(米国航空宇宙局)が協力。機体には214個の音響センサー、地上に1000個の集音マイクを設置し、騒音を確認した。また、仏サフラン製のランディングギア(主脚)を改良し、進入時の騒音を低減した。

 試験飛行に使用した燃料には、農業廃棄物から製造した持続可能なものを50%混合。二酸化炭素(CO2)排出量を75%削減した。

 このほか、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の一環として、手に持つタイプの紫外線照明機器も検証。電子部品への液体消毒剤の使用を最小限に抑え、機内を消毒した。

 2012年に開始したエコ・デモンストレーターは、民間機を使用して技術を検証。2012年にはアメリカン航空(AAL/AA)の737-800を使用し、当時開発中だった737 MAXに搭載する新型ウィングレット「ATウイングレット(アドバンスト・テクノロジー・ウイングレット)」など15種類の技術をテストした。

 2014年には787-8の飛行試験4号機で、騒音低減や燃料の効率性向上、機体重量の低減、翼への氷付着を減少させるコーティング技術などを検証した。2018年にはJAXA(宇宙航空研究開発機構)と共同で、晴天乱気流を検知する技術を搭載した飛行試験を展開。航空貨物会社フェデックス・エクスプレス(FDX/FX)に納入後の777F貨物機で検証を進めた。

ボーイングのエコ・デモンストレーターで導入した地上の集音マイク(同社提供)

ボーイングのエコ・デモンストレーターで持続可能燃料を給油するエティハド航空の787-10(ボーイング提供)

ボーイングがエティハド航空の787-10で検証を進めるサフラン製のランディングギア(ボーイング提供)

ボーイングが機内消毒を検証する手に持つタイプの紫外線照明機器(同社提供)

ボーイングが機内消毒を検証する手に持つタイプの紫外線照明機器(同社提供)

関連リンク
ecoDemonstrator [1](Boeing)
エティハド航空 [2]

エコ・デモンストレーター
ボーイングとJAXA、晴天乱気流の検知試験 ちりにレーザー照射 [3](17年8月2日)
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ボーイング、787でグリーン・ディーゼル飛行実験 CO2削減90% [5](14年12月4日)
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