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ICAO、CO2抑制義務化でシステム構築 排出量などクラウドに保存

 国連の専門機関ICAO(国際民間航空機関)は、二酸化炭素(CO2)排出量の抑制など航空業界の低炭素化に向けた取り組みに関連し、クラウドベースのデータ登録システムを正式に立ち上げた。国際航空を対象に2021年から始まる温室効果ガスのオフセット(相殺)義務化を前に、重要な節目としている。

21年にカーボン・オフセット義務化となる国際航空(資料写真)=PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 低炭素化への取り組み「国際民間航空のカーボン・オフセットおよび削減スキーム(CORSIA)」に関連し、「CORSIAセントラル・レジストリ(CCR)」と呼ぶシステムを立ちあげた。CCRでは、運航会社のCO2排出量や適格燃料、キャンセルされた排出枠などのデータをクラウド上に保存する。

 国際航空は多くの燃料を消費しており、人の活動に起因するすべての炭素排出の1.3%を占める。気候変動への対策が求められる中、ICAOは2016年総会でCORSIAを採択。国際航空で発生した温室効果ガスの排出を、2021年からはほかの活動で相殺することを義務付ける方針だ。航空各社では、バイオ燃料など代替航空燃料の導入などにより、CO2排出量の削減を目指す研究を進めている。

 ICAOによると、CORSIAには国際航空活動の76.76%を占める85カ国がすでに自主参画しているという。ICAOのリウ・ファン(柳芳)事務局長は「CCRの立ち上げにより、CORSIAの完全な実装に近づける。ICAOは『どの国も置き去りにしない』という精神で支援を続ける」と述べた。

関連リンク
CORSIA [1](ICAO)

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