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成田空港C滑走路、28年度末までに新設へ 国交省が変更許可

 国土交通省航空局(JCAB)は1月31日、成田国際空港会社(NAA)が申請していた航空法に基づく空港等の変更許可について、同日付で許可した。2028年度末までに第3滑走路(C滑走路)を新設し、既存のB滑走路を延伸する。これにより、年間発着回数が50万回に拡大することになる。

計画する成田空港の機能強化(国交省の資料から)

—記事の概要—
29年3月完成予定
現在の滑走路は2本

29年3月完成予定

28年度末までにC滑走路を新設する成田空港=PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 新設するC滑走路は3500メートルで、B滑走路の南側に整備する。また、現在2500メートルのB滑走路は、北側に1000メートル延伸し、3500メートルとする。今回の変更許可により、敷地面積は現在の1198ヘクタールから1099ヘクタール拡大し、2297ヘクタールとなる。2029年3月31日の完成を予定している。

 成田空港の現在の年間発着回数は30万回。滑走路の新設・延伸などにより、20万回を上積みして年間50万回に拡大する。2019年12月5日には、着陸後に滑走路から駐機場へ向かうための「高速離脱誘導路」の整備が完了。このほか、今年の東京五輪までに管制機能の高度化することで2万回ずつ増加するほか、今回の許可によるC滑走路の新設とB滑走路の延伸により、16万回増える見込み。

 滑走路新設・増設や用地買収など、今回の変更許可による事業費はおよそ5000億円。国はNAAに対し、空港整備勘定から300億円出資するほか、財政融資資金から4000億円融資する。

現在の滑走路は2本

 国交省と千葉県、成田市など空港周辺9市町、NAAによる成田空港の4者協議会は空港の機能強化について合意し、2018年3月に確認書を締結。国交省は2019年11月5日に、成田空港の機能強化に向けた基本計画の改定を発表し、NAAは同月7日に、国土交通大臣に今回の変更許可を申請した。

 成田空港は現在、4000メートルのA滑走路(RWY16R/34L)と2500メートルのB滑走路(RWY16L/34R)の2本で運用している。このほか横風用の滑走路を計画していたが、改定した基本計画で横風用の旧C滑走路(3200メートル)を廃止した。

 C滑走路の供用開始までは、既存の滑走路2本で運用する。A滑走路は冬ダイヤが始まった2019年10月27日から、運用時間を1時間延長。従来の午前6時から午後11時までを、午前0時までに延ばすとともに、午後10時以降に設定していた便数制限を撤廃した。

 A滑走路は、飛行経路下での騒音休止時間帯を6時間確保。午前0時から午前0時30分までの30分間を「カーフュー(離発着制限)の弾力運用」の時間帯とし、出発空港での遅延や成田への引き返しなどにより離着陸を認めている。

 B滑走路は現状どおり、午前6時から午後11時までの運用時間とし、7時間の制限時間を設ける。

 C滑走路の供用後はスライド運用を導入し、現状どおり7時間の静穏時間を確保する。午前5時から午後10時までの「早番」と、午前7時30分から午前0時30分までの「遅番」の運用時間に分別。北風運用の場合、A滑走路の着陸とB滑走路の離陸、C滑走路の着陸とA滑走路の離陸をグループにすることで、滑走路の南北での静穏時間を設定する。

 早番と遅番は、定期的に入れ替える。カーフューは、午前0時30分から午前1時までの30分間。空港全体の運用時間は午前5時から午前0時30分までとする。

関連リンク
成田国際空港 [1]
成田空港の明日を、いっしょに [2](NAA)
国土交通省 [3]

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