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カンタス航空、19時間の調査飛行 ニューヨーク発シドニー直行便、787で

 豪州のカンタス航空(QFA/QF)は、19時間におよぶ超長距離フライトの調査飛行を開始した。1回目の調査飛行となったのはニューヨーク(ジョン・F・ケネディ)発シドニー行きで、1万6200キロを19時間16分で飛行した。今後はロンドンからシドニーへも調査し、実現に向けたデータを収集する。

ニューヨーク発シドニー行き調査飛行QF7879便から降機するカンタス航空のパイロットら=19年10月20日 PHOTO: James D Morgan/Qantas

カンタス航空のニューヨーク発シドニー行き調査飛行QF7879便を示すモニター=19年10月18日 PHOTO: James D Morgan/Qantas

 調査飛行となったニューヨーク発シドニー行きQF7879便には、受領したボーイング787-9型機(登録記号VH-ZNI)を投入。ニューヨークを現地時間10月18日午後9時に出発し、翌々日20日午前7時10分にシドニーへ到着するスケジュールで運航した。カンタス航空は現在、ニューヨーク-シドニー線をロサンゼルス経由で運航している。経由便の場合、22時間20分かかる。

 QF7879便は米国からのデリバリーフライトを活用したもので、通常は米国にあるボーイングの工場で機体が引き渡された後、豪州へ乗客なしで向かうが、今回は乗客乗務49人が搭乗し、パイロット4人が運航した。このほか、客室内には予備のパイロットが2人控えた。調査ではパイロットの脳波を測定したほか、体内時計を調整するホルモン「メラトニン」なども検査した。

 カンタス航空は、豪州発着のニューヨークやロンドンへの直行便就航を目指すプロジェクト「Project Sunrise」を発足。今回のニューヨークからの直行便を合わせ、3回の調査飛行を計画している。今後、11月にはロンドンから、12月にはニューヨークから、それぞれシドニーへの直行便を運航し、調査を進める。

 豪州-ニューヨーク線やロンドン線を実際に開設するかは、調査飛行の結果や経済性、航空当局の承認、労使合意を踏まえた上で、今年12月までに決定する見通し。開設できると判断した場合、2022年から2023年の就航を計画する。これらの路線に対し、エアバスはA350 XWBを、ボーイングは777Xをカンタスに提案している。

 カンタス航空は2018年3月に、パース-ロンドン線を直行便で就航。1万4498キロを17時間で飛行している。カンタス以外の航空会社では、シンガポール航空(SIA/SQ)がシンガポールとニューヨーク対岸のニュージャージー州ニューアークを結ぶ世界最長路線を2018年10月11日に復活。飛行時間は約19時間で、A350の超長距離型となるA350-900ULR(Ultra-Long Range)を投入している。

シドニーへ到着したカンタス航空のニューヨーク発調査飛行QF7879便=19年10月20日 PHOTO: James D Morgan/Qantas

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