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なぜ三菱重工はボンバルディアCRJを狙うのか 進む業界再編

 三菱重工業(7011)は6月5日、カナダのボンバルディアとリージョナルジェット機「CRJ」の事業買収に向けて事前協議を進めていることを明らかにした。米国の航空専門メディア「エアカレント(The Air Current)」が現地時間6月4日にスクープしたもの。

*ボンバルディアと契約締結の記事はこちら [1]

三菱重工が取得を目指すボンバルディアCRJ(ボンバルディア提供)

—記事の概要—
ボンバルディアと訴訟も
事業売却・業界再編進む

ボンバルディアと訴訟も

 三菱重工は、子会社の三菱航空機が「MRJ」を開発しているものの、当初2013年だった初号機引き渡しは、5度の延期で2020年半ばを目指している。開発発表時に目玉だった新型エンジンなども、リージョナルジェット機世界最大手であるブラジルのエンブラエルが次世代機「E2シリーズ」で取り入れ、すでに納入を開始しており、三菱重工は戦略の見直しを迫られている。

戦略見直しが進むMRJ=18年7月16日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 こうした中、航空機事業の整理を進めるボンバルディアからCRJ事業を買収することで、巻き返しを狙う。MRJは「スペースジェット」に改名することで、イメージ刷新を図る。いずれも正式発表は、6月17日に開幕する世界最大の航空ショー「パリ航空ショー」になるとみられる。

 一方で、ボンバルディアは2018年10月19日に、三菱航空機を米ワシントン州シアトルの連邦地裁に提訴。ボンバルディアの機密情報を入手するため、元社員らを雇用し、MRJの開発段階で情報を不正利用したと訴えている。双方は全面的に争っており、今回のCRJ事業売却で訴訟の行方が注目される。

事業売却・業界再編進む

 ボンバルディアは、100-150席クラス