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和食の特製機内食 特集・スカイマーク成田-サイパン初便搭乗記

 成田-サイパン間の国際線就航を目指し、スカイマーク(SKY/BC)は国際チャーター便の運航を開始した。日本からの片方向チャーターで、ゴールデンウイークにも実施する。

サイパンに到着したスカイマークの成田発初便BC801便=19年3月22日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

 スカイマークのチャーター便を利用した成田発着のサイパンツアーは、3月22日発から27日発までの6日間に設定。ツアー日程は3泊4日で、チャーター便が往復する9日間のうち、前後3日間は片道をフェリー(回航)として運航した。

 同社の佐山展生会長は22日の初便就航式典で、「(今回のチャーターは)ほぼ満席で、近い将来の定期便化を検討したい。国際線でも定時運航と快適な旅を提供したい」と、早ければ今夏の定期便化に言及した。

 今回、私(記者)は22日の初便でサイパンへ向かった。

—記事の概要—
機内食は和食
成田発着国内線も

機内食は和食

 成田空港の搭乗口前で取材を終え、機内へ足を進める。座席にはスカイマークのロゴが入ったブランケットが備わり、シートポケットには国内線で有料販売されているミネラルウォーターがセットされていた。

スカイマークのサイパン行き初便BC801便で用意された機内食=19年3月22日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

 機体は国内線と同じながら、こうした客室のわずかな違いから、これから海外へ飛ぶことを意識させられる。午前10時11分に24番スポット(駐機場)を出発したサイパン行きBC801便は、やや長い離陸滑走ののち、成田のA滑走路から離陸した。

 機内サービスは、機内食が用意されている点が国内線との大きな違いだ。飲み物もアルコールを含め、すべて無料だった。

 機内食はチャーター便のために用意された特製のもので、色とりどりのごはん(寿司)を中央に配した和食のメニュー。種類は1種類で選択肢はないものの、昼食としてはちょうどいいボリュームだった。機内食は往路と復路で製造元が変わり、復路はサイパンで積み込まれる。

 飲み物の種類も国内線と異なり、冷たいものは水と緑茶、リンゴジュース、コーラ、ビールなど。緑茶は温かいものもあり、国内線で無料提供しているネスレのホットコーヒー「ゴールドブレンド」と、オリジナルパッケージのチョコレート「キットカット」も用意されていた。

 ビールは2種類搭載されており、ひとつはキリンの「一番搾り」で、もうひとつがサイダーを連想させる水色の缶に入ったビール(後述)。見た目でとても興味をそそられ、ためしにオーダーしてみた。苦みが抑えられていて飲みやすく、柔らかな口当たりは特に女性に好まれそうな味だと感じた。

 客室乗務員に乗務の感想を聞くと、「国内線と比較するとサービス内容が多く、慣れないうちは大変」だという。「これまでに(自社他社問わず)国際線の経験がある乗務員を、今回のチャーター便に選抜しています」と話してくれた。国際線を担当する客室乗務員の教育も進められており、将来は全員が国際線に乗務できる体制になるという。

 食事の時間に見かけた、水色の缶のビールについても聞いてみると、「茨城に就航している縁もあり、茨城の企業で製造されるビールを搭載することになりました」という。茨城県の木内酒造が製造する地ビール「ホワイトエール」で、帰国後に調べてみると、数々の賞を受賞しているビールだった。

成田発着国内線も

 およそ3時間半のフライト後、スカイマークのチャーター便は初めてサイパンの地を踏んだ。タラップを降りると、スカイマークの市江正彦社長や北マリアナ諸島のラルフ・トーレス知事ら関係者の歓迎を受けた。2018年10月25日にサイパンを襲った台風26号による爪あとが、空港内の随所に残っていたものの、空港機能はかなり復旧しているように見えた。

サイパンの観光拠点となるガラパン地区の夕景=19年3月22日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

 国際線準備室のJohn Furuya副室長は、「定期便は成田発で考えている」と述べ、「成田から国内線も接続することを考えている。現在ある国内11拠点を生かし、スロット(発着枠)が取れるところから飛ばして、いいコネクションを構築したい」と、成田発着の国内線を再開する可能性に触れた。

 スカイマークの成田路線は、2011年10月30日に旭川線1日2往復と、札幌線1日1往復でスタートした。その後は那覇線と神戸線、石垣線、米子線を定期便で、鹿児島線を季節便で運航。最後に残ったのは札幌線と那覇線、米子線の3路線で、1日2往復4便ずつ運航し、2014年10月25日を最後に成田から撤退した。

 今回の国際チャーターで、スカイマークは約4年5カ月ぶりに成田発着便を復活させた。サイパンに続きパラオへのチャーター便も計画されており、実績を重ねて近い将来の定期便化を目指す。

 エンジンが1基停止しても洋上飛行が一定時間可能な「ETOPS(イートップス)」を、航空当局から取得した機材は現在6機。ETOPS機材を活用した国際定期便の初開設と、成田発着のネットワーク再構築を目指す。

*写真は28枚(運航スケジュールは写真下に掲載)。

成田空港で出発を待つスカイマークのサイパンチャーター初便BC801便=19年3月22日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

国内線と同じ書式のサイパン行き初便BC801便の搭乗券=19年3月22日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

成田空港でサイパン行き初便の乗客に記念品を手渡すスカイマークの佐山会長=19年3月22日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

成田空港でスカイマークのサイパン行き初便BC801便に搭乗する乗客=19年3月22日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

スカイマークのサイパン行き初便BC801便の各席に用意されたロゴ入りブランケットと水=19年3月22日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

スカイマークのサイパン行き初便BC801便の乗客に配られた記念品=19年3月22日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

成田空港を離陸するスカイマークのサイパンチャーター初便BC801便=19年3月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

サイパン行き初便BC801便の前方ギャレーで機内食の準備を進めるスカイマークの客室乗務員=19年3月22日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

サイパン行き初便BC801便の機内で機内食を配るスカイマークの客室乗務員=19年3月22日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

サイパン行き初便BC801便の機内で茨城の地ビールを配るスカイマークの客室乗務員=19年3月22日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

サイパン行き初便BC801便の機内で機内食を手にするスカイマークの客室乗務員=19年3月22日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

スカイマークのサイパン行き初便BC801便で用意された機内食=19年3月22日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

スカイマークのサイパン行き初便BC801便の機内=19年3月22日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

サイパンに到着するスカイマークのサイパン行き初便BC801便=19年3月22日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

サイパンに到着したスカイマークのサイパン行き初便BC801便=19年3月22日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

サイパンに到着し歓迎を受けるスカイマークのサイパン行き初便BC801便の乗客=19年3月22日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

サイパン行き初便BC801便の操縦を担当したスカイマークのパイロット=19年3月22日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

サイパン行き初便BC801便に乗務したスカイマークのパイロットと客室乗務員=19年3月22日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

洋上飛行が可能な機体を示す「ETOPS」を紹介するスカイマークのFuruya副室長=19年3月22日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

サイパン国際空港で握手を交わすスカイマークの市江正彦社長(右)と北マリアナ諸島のラルフ・トーレス知事=19年3月22日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

サイパン国際空港に設けられたスカイマークのチェックインカウンター=19年3月22日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

成田へ向けサイパンを出発するフェリーフライト=19年3月22日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

成田へ向けサイパンを出発するフェリーフライト=19年3月22日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

成田へ向けサイパンを離陸するフェリーフライト=19年3月22日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

スカイマークが就航したサイパン国際空港のターミナル=19年3月22日 PHOTO: Masahiro SATO/Aviation Wire

運航スケジュール
BC801 成田(10:00)→サイパン(14:40)運航日3/22-27
BC802 サイパン(16:45)→成田(19:30)運航日3/25-30

関連リンク
スカイマーク [1]

成田から初便
スカイマーク、成田からサイパンチャーター 定期便化検討 [2](19年3月22日)

国際チャーター
スカイマーク、GWもサイパン国際チャーター [3](19年3月19日)
スカイマーク、成田-サイパン国際チャーター 3月に [4](19年1月25日)
スカイマーク、成田から国際チャーター 19年3月就航へ [5](18年11月30日)
スカイマーク、今冬に国際チャーター検討 サイパン・パラオ、19年定期便化も [6](18年7月19日)
スカイマーク、サイパン・パラオ国際チャーター検討 市江社長「19年5月か6月に」 [7](18年6月18日)