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成田空港、深夜0時まで運用延長 9市町と合意、冬ダイヤから

 成田国際空港会社(NAA)は成田空港の運用時間延長について、今年の冬ダイヤから始めることで周辺自治体と合意した。NAAや周辺市町などで構成する4者協議会で今後正式に合意し、10月27日開始の冬ダイヤからは運用時間を1時間延長し、午前0時までにする。

—記事の概要—
9市町すべて合意
終電延長を要請
午前0時まで延長

9市町すべて合意

運用時間延長の合意で周辺自治体に謝意を述べるNAAの夏目社長=19年1月31日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 成田市など空港周辺9市町は各市町の議会で、空港の運用時間延長について議論。1月25日に山武市議会、28日に横芝光町議会でそれぞれ合意し、すでに合意済みの7市町と合わせて、すべてが合意した。2月中にも開催される予定の4者協議会で、正式に合意する見通し。

 NAAは、2020年の東京五輪・パラリンピック開催までに運用時間の延長を実現したいとしていた。開始時期は今年の冬ダイヤか、2020年夏ダイヤのどちらかだったものの、NAAでは早期の開始を目指している。NAAの夏目誠社長は1月31日、「各市町議会からは、苦渋の決断ではあるものの、受け入れる旨の表明を頂戴した」と述べ、謝意を表した。

 今後は、防音効果が期待できる近隣住宅への内窓設置工事の周知を徹底する。従来は予約が必要だった空港近くにある「内窓効果体験住宅」の見学を、2月1日から3月31日までは、予約なしでも受け付ける。体験住宅にはNAAの社員が常駐するほか、期間中は各地域に無料の循環バスを運行する。

終電延長を要請

 合意により、運用時間は現在の午後11時までが、翌日午前0時までとなる。成田空港から都心方面に向かう最終電車は、JR東日本(東日本旅客鉄道、9020)が午後11時発の快速東京行き、京成電鉄(9009)が午後11時3分発の快速京成高砂行きで、午前0時に到着した場合、鉄道では空港から出られなくなる。

 JR東日本出身の夏目社長は鉄道事業者に対し、「経営判断もあると思うが、(運用時間)1時間の延長も踏まえて、終電の見直しも検討していただきたい」と述べた。

 旅客のほか、4万3000人にのぼる空港従業員のアクセス向上も課題だ。夏目社長は「従業員向けの空港アクセスも重要」と述べ、鉄道事業者に対し、労働環境の観点でも終電延長を要請する考えを示した。

午前0時まで延長

運用時間延長で周辺市町と合意した成田空港=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 成田空港は現在、4000メートルのA滑走路(RWY16R/34L)と2500メートルのB滑走路(RWY16L/34R)の2本で運用している。運用時間は午前6時から午後11時までで、7時間の静穏時間を設定。午後10時以降はA滑走路とB滑走路各10回ずつ、計20回までの便数制限を設けている。

 NAAのほか、国土交通省と千葉県、成田市など空港周辺9市町で構成する成田空港の4者協議会は、成田空港の機能強化について合意し、2018年3月13日に確認書を締結。今後、第3滑走路(C滑走路)の新設やA滑走路の供用時間延長などで合意している。

 機能強化では、B滑走路の南側に3500メートルのC滑走路を新設。また、B滑走路を北側に1000メートル延伸し、3500メートルとする。滑走路の新設・延伸により、年間発着回数を現在の30万回から50万回に拡大する。

 また、午後11時から午前0時までの1時間を「カーフュー(離発着制限)の弾力運用」の時間帯とし、出発空港での遅延や成田への引き返しなどにより離着陸を認めている。

 C滑走路の供用開始までは、既存の滑走路2本で運用する。2020年の東京五輪・パラリンピック開催までに、A滑走路の運用時間を一部変更。午前6時から午前0時までとし、現状から1時間延長する。飛行経路下での騒音休止時間帯を6時間確保するとともに、午後10時以降の便数制限を撤廃する。午前0時から午前0時30分までの30分間を「カーフュー」とする。

 B滑走路は従来と同様、午前6時から午後11時までの運用時間とし、7時間の制限時間を設ける。

関連リンク
成田国際空港 [1]
成田国際空港株式会社 [2]
成田空港の明日を、いっしょに [3](NAA)

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