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JAL、中国東方航空と共同事業へ 19年度から、アライアンス外との提携加速

 日本航空(JAL/JL、9201)と中国東方航空(CES/MU)は8月2日、共同事業(JV)の実施に向けた覚書を締結した。2019年度中の開始を目指す。

—記事の概要—
破綻後も提携深化
JVで中国市場取り込み

破綻後も提携深化

共同事業を19年度から始めるJALと中国東方航空=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 両社は2002年9月から日中間の運航便でコードシェアを、2008年2月からマイレージプログラムの提携を開始。JALが2010年に経営破綻後も、2011年にコードシェアの対象路線を拡大したり、マイル提携の対象を広げるなど、提携関係を深めてきた。

 今回JVの対象となるのは、双方が運航する日中路線とJALの日本国内線、中国東方の中国国内線の一部。JV開始後の両社のネットワークは、日本国内50都市以上、中国国内80都市以上になる。

 JALは2011年4月からアメリカン航空(AAL/AA)と、2012年10月からブリティッシュ・エアウェイズ(BAW/BA)、2014年4月からフィンエアー(FIN/AY)、2016年10月からはイベリア航空(IBE/IB)とJVを展開。現在はハワイアン航空(HAL/HA)とのJV実施に向け、国土交通省と米国運輸省(DOT)に、日本-ハワイ線での独占禁止法適用除外(ATI)を申請している。

JVで中国市場取り込み

 JVは、相互に便名を付与するコードシェアや、マイル提携よりも踏み込んだもので、運賃や運航スケジュールなど、より深い部分で連携できるようになる。乗り継ぎ時の利便性向上など、無駄のないネットワーク展開が可能になるほか、サービス品質の向上など、双方の強みを活かせるようになる。

 これまでは、アメリカン航空やBAのように、JALは同じアライアンス(航空連合)である「ワンワールド」の加盟社と提携を深める形で、JVを展開してきた。しかし、中国東方は「スカイチーム」の加盟社で、JALとはアライアンスをまたいだ提携強化になる。

 JALは国の監視期間が終わった2017年4月以降、同年7月にベトナムのベトジェット航空(VJC/VJ)、9月にインドの財閥タタ・グループの新興航空会社ビスタラ(VSS/UK)と提携するなど、アライアンス外の航空会社と関係を構築することで、国際線路線網の強化を進めている。ATIを申請しているハワイアンとのJVも、ワンワールド非加盟社との提携強化だ。

 今回も、中国東方と従来からの2社間関係を深化させてJVを始めることで、アライアンスにとらわれない提携強化を加速する。JALが7月31日に発表した2018年4-6月期(19年3月期第1四半期)決算によると、中国路線の旅客数は前年同期比27.7%増の39万3000人と大幅に伸び、方面別の伸び率がもっとも高かった。

 一方で、中国にはワンワールドのパートナーが不在だ。アライアンス外の中国東方との提携で、JALは訪日需要が旺盛な中国市場の取り込みを強化する。

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