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ANA、777F導入へ 北米へ大型貨物機

 全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)の片野坂真哉社長は2月23日、ボーイング777F貨物機の導入に向けて最終調整を進めていることを明らかにした。2018-22年度の中期経営計画期間中に、新造機を2機導入する。

777Fを導入する見通しのANA=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ANAHDは、航空機エンジンや自動車などの大型貨物、リチウムバッテリーや医薬品などの特殊品を大量輸送できる大型貨物機として、777Fの導入に向けた調整を進めている。傘下の貨物事業会社ANAカーゴ(ANA Cargo)による、アジアと北米を結ぶ太平洋路線に導入する見通し。

 ANAカーゴは、12機の中型貨物機を運航中。4機が新造機の767-300F、8機はANAが旅客機として運航していた機体を貨物機に転用した767-300BCF(ボーイング・コンバーテッド・フレーター)となる。

 大型貨物機の導入については、2015年1月に発表した2014-16年度計画で検討を始めており、777Fはこの段階で候補に挙がっていた(関連記事 [1])。貨物の共同事業を行っているルフトハンザ・カーゴ(GEC/LH)は、2016年から777Fを成田便に投入している。

成田で貨物を降ろすルフトハンザ・カーゴの777F=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 777Fは、旅客機の777-200LRを母体に開発された貨物機で、2005年にローンチ。初号機は2009年2月に、ローンチカスタマーのエールフランス航空(AFR/AF)に引き渡された。旅客機の客室にあたるメインデッキの左側後部には、3.7メートル×3.1メートルの大型ドアを設け、貨物の搭降載をしやすくしている。

 エンジンは777-200LRと同じ米GE製GE90-110Bを2基搭載。最大離陸重量は76万6800ポンド(348トン)、ペイロードは22万4900ポンド(102トン)、航続距離は4970海里(9200キロ)で、カタログ価格は3億3920万ドル(約362億円)となっている。

 ボーイングは、777-200ERを貨物機に改修する「777-200ER BCF」の研究を進めているが、技術的な課題があるとして、開発発表に至っていない。

 また、貨物事業の強化に伴う、かつて出資していた日本貨物航空(NCA/KZ)への再出資の可能性について、片野坂社長は「かつてのような投資はない」と否定した。

関連リンク
全日本空輸 [2]
ANAカーゴ [3]
Boeing [4]
ボーイング・ジャパン [5]

ANAカーゴ
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777F
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777-200ER BCF
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