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「今までは再生ステージ。これからは成長」ソラシドエア髙橋新社長に聞く

 宮崎空港に本社を構えるソラシドエア(SNJ/6J)が、8月1日で就航15周年を迎えた。

 ソラシドは2002年8月1日に宮崎-羽田線の運航を開始。12機のボーイング737-800型機(1クラス174席)で、羽田-宮崎、熊本、長崎、鹿児島、大分線の羽田発着5路線、那覇-宮崎、鹿児島、神戸、中部、石垣線の那覇発着5路線の計10路線を運航している。

ソラシドエアの髙橋社長=17年7月24日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 今年6月には、筆頭株主である日本政策投資銀行(DBJ)の常務だった髙橋宏輔氏が新社長に就任した。髙橋新社長は、1961年7月21日宮崎県生まれ。東京大学法学部を卒業後、日本開発銀行(現日本政策投資銀行)に1984年4月入行。DBJでは金融法人部長や秘書室長、都市開発部長、常勤監査役を経て、2015年2月に常務執行役員に就任した。

 2020年に向けた中期経営戦略が4月にスタートした同社の髙橋社長に、抱負などを聞いた。

── ソラシドに入られて社内の雰囲気など、どう感じたか。

ソラシドエアの737-800。髙橋社長が抱いた会社の第一印象は「思っていた以上にアットホーム」=16年4月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

髙橋社長:宮崎生まれで墓参りではソラシドを使っていたので、全然知らない会社ではなかった。前任の髙橋洋氏は、DBJのころから知り合いだった。

 来てみると、思っていた以上にアットホーム。6年間で機材も新しくなり、会社も良くなっている。社員が前向きに働いている印象を受けた。

 九州出身なので、会社と同じく九州・沖縄にこだわってやっていきたい。

── 現時点で感じている課題は。

髙橋社長:機材も新しくなり、サービスも大手には引けを取らないと自負している。一方、インバウンドの急増で、国際線に目を向けていかないとならない。6年間で景色も変わってきたのかなと思う。

 現在の中期計画はまさにそれで、グローバルエアラインに向けて、インバウンドとか課題が残ってましたね、それはそうだよね、という内容だ。しかし国際線は簡単ではない。チャーターを飛ばして、練習しないといけない。

 機材も2018年度から2機増やすが、人を増やさなければならない。パイロットを増やせるのかなど、ブレークダウンしていくといろいろある。

── 国際線定期便化の進捗状況は。

ソラシド初の国際チャーター便の横断幕を手にする客室乗務員=15年10月17日 PHOTO: Youichi KOKUBO/Aviation Wire

髙橋社長:国際線のチャーターはまだ2回しかやっていない。今年度以降は何回もやらないといけない。

 進捗としてはまだまだ。就航地はどこにチャンスがあるのか、発着枠はどうなのかと、情報収集を進めている。

 就航地は各社共通の悩みだと思うが、羽田からの大需要地はみんなが欲しがっている。羽田空港や福岡空港は発着枠が厳しいし、那覇空港もパンパンになりつつある。

── 羽田-那覇線は臨時便を運航したが、定期便化の予定は。

髙橋社長:すごく需要はあるが、何の予定もない。羽田も那覇も発着枠がいっぱいいっぱいだからだ。

── 737-800の後継機は737 MAX 8なのか。より大きな機体なのか。

髙橋社長:現有機の機齢が3年くらいなので、後継機については、たっぷり様子を見る時間がある。737 MAXは他社が使ってどうなのか、様子を見たい。

 増機する2機は従来通り737-800だ。しかし後継機は737にこだわる必要もないので、白紙で考えたい。ロードファクター(座席利用率)を見ると、座席数を増やさなきゃ、という感じでもないが、良い路線が取れれば大きい機材を検討する余地はある。

── ソラシドのユニットコストは8円台と低く抑えられている。今後どのようにしていきたいか。

髙橋社長:来てみて思ったが、人が少ないからコストが安い(笑)。効率良く仕事をするしかない。

 これまで少人数でがんばってきたので、社員は効率良くやるクセがついている。大企業病ではないのが良いところだ。

 一方、これまでは新造機ばかりで修繕費がかかってない。だんだん整備コストが掛かってくるので、その分は運航コストが上がると見ている。自社での整備もどこまでやれるかを考えたい。

 今までは再生ステージだったが、これからは成長。知恵の出し合いだ。サービスも上を目指していきたい。

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