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ANAのCA達人コンテスト、韓国チーム優勝 個人はタイ人男性も1位に

 全日本空輸(ANA/NH)は12月2日、日ごろの接遇スキルを競う「第4回 OMOTENASHIの達人コンテスト」を開催した。3人1組で出場するチーム部門と個人部門が開かれ、チーム部門は20チームによる予選を勝ち抜いた2チームが、個人部門は約7800人の客室乗務員の中から投票で選ばれた上位9人が出場した。

第4回OMOTENASHIの達人コンテストで優勝した(前列左から)個人部門フレッシャーズ層のクライピットさん、チーム部門のイさん、キムさん、ユンさん、個人部門エキスパーティーズ層の神野さん=16年12月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 チーム部門は、海外乗務課所属のキム・ダンビさん、ユン ヒェウンさん、イ・ウンジさん(ともに12年度入社)による「Kore-ANA FIRSTCLASS」が優勝した。

 個人部門は入社4年未満の「フレッシャーズ層(ジュニア)」と、入社5年目以上の「エキスパーティーズ層(シニア)」を分けて審査し、4人が出場したフレッシャーズは海外乗務課のラシリオラポン・クライピットさん(15年度入社)、エキスパーティーズは乗務第6課の神野(かみの)久美子さん(85年度入社)が栄冠を手にした。

 外国人客室乗務員の優勝は初めて。両部門合わせて3つある王座のうち、2つを海外勢が制した。

チーム部門

 チーム部門のコンテストは、東京・大田区にあるANA訓練センターの客室モックアップで実施。ビジネスクラスのシート(2席-3席-2席配列)のシートやギャレー(厨房設備)が設けられ、ANAの役員25人と外部からの招待者3人の28人が乗客役として審査した。会場内には多くの応援団が詰めかけ、出場者が入場した時から声援が飛び交った。

ビジネスクラスの乗客役と会話するキムさん=16年12月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

第4回OMOTENASHIの達人コンテストの開会式で挨拶するANAの篠辺社長=16年12月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 コンテストの注意点は、毎年恒例となった教官によるダンスで説明。客室乗務員を呼び出す際は、各席に用意したうちわを振ることなど、注意を呼びかけた。

 チーム部門の競技内容は、羽田発ニューヨーク行きNH110便のビジネスクラスで、コースメニューやドリンクを提供する場面を想定。接客スキルやチーム力、会話力、会社が目指すブランドイメージなどを審査した。また乗客役の一部は外国人客を想定し、すべての受け答えを英語で応対した。

 乗客役には篠辺修社長も参加した。「出場者は会社を代表する人で、腕前は何ら恥じることなく模範となる人。お客様は(社外の)3人だけで、あとは身内なので、『こういうサービスをしたい』という人は、われわれを実験材料だと思って、ぜひやっていただきたい」とあいさつ。「われわれは普段の素顔を見たいです。(審査員は)飲み過ぎ注意でお願いします」と会場を沸かせた。

 キムさんら韓国チームは2本ある通路のうち、進行方向左側を担当。キムさんとユンさんが主に客室をまわり、イさんがギャレーで機内食を調理した。

 客室乗務員を統括する客室センター長の山本ひとみ執行役員も社内審査員として参加。山本センター長の並び席は、新婚旅行のカップルを想定していた。ユンさんらがお祝いのカードを用意して手渡すと、2人は喜んでいた。

新婚旅行客役を務めたANAの山本客室センター長(右)にお祝いのカードをプレゼントした韓国チームのユンさん(左)=16年12月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 参加した役員は、「どこで日本語を覚えたの?」「料理は盛り付けと提供する人が大事」と話しかけ、客室乗務員との会話を楽しんでいた。

 チーム部門の出場者は、2チームとも普段から一緒に乗務している。ギャレー内でお互いの役割分担や進行状況を確認しながら、手際よく機内食を提供していった。

 コンテストを終えたキムさんは、「100%の出来ではありませんでしたが、お客様役と日本語での会話に挑戦し、懐石料理や日本の文化を学ぶよい機会でした。とても良い日になりました」と英語で喜びを表現した。

 ユンさんは「緊張しましたが、いろいろとサポートしていただき、楽しめました」と、照れ笑いした。ギャレーワークを担当したイさんは、「みんなでコミュニケーションを取り、チームワークで挑戦しました。お客様役が楽しい雰囲気で、エンジョイできました」と、緊張しながらも結果を残せたことで、笑顔をはずませた。

個人部門

 個人部門は、フレッシャーズ層の4人を審査後、エキスパーティーズ層の5人の審査が行われた。競技時間はフレッシャーズが1人5分間、エキスパーティーズは同7分間だった。

ビジネスクラスの外国人客を接客するクライピットさん=16年12月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 フレッシャーズでグランプリに輝いたタイ人男性客室乗務員のクライピットさんは、羽田発バンコク行きNH847便のビジネスクラスで、搭乗中の接客スキルが審査された。初めての海外旅行という老夫婦役には、タイの見どころについて「バンコク出身なので、いつでもお聞きください」と話しかけていた。

 夫婦は搭乗後もダウンジャケットを着用しており、クライピットさんが気に掛けると、妻役の社員が「孫が買ってくれて脱がないのよ」と応じると、会場は爆笑の渦に包まれていた。

 優勝したクライピットさんは表彰式で、「今日は1日忘れられない日になりました。これからも努力してがんばり、もっと元気な笑顔を目指します」とあいさつ。会場からは大きな拍手が贈られた。

お忍びで搭乗したという外国人俳優役を接客する神野さん=16年12月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 一方、エキスパーティーズのグランプリとなった神野さんは、深夜便となるロサンゼルス発羽田行きNH105便のビジネスクラスで、到着まで1時間となったシーンでの接客を審査された。

 機内で不安がっていた女性客、お忍びで登場した外国人の男性俳優役らを応対。篠辺社長にちなんだ“オサム”という息子を持つ母親との会話を盛り上げ、視力が弱く到着後はマラソンに参加するという男性客には、機内にあるフットマッサージの器具を勧めていた。

 コンテストを終えた神野さんは、「ひとりで寂しかったですが、たくさんの支えてくれたクルーが後押ししてくれたので、全員で取った優勝だと思っています。クルーに支えられてのフライトなのだと、みなさんに知ってもらいたいです」と話した。勝因については、「欲のないところが良かったのかも知れません」と分析した。

 決勝戦に進出した15人には、おもてなしのプロであることを示す「THE MASTER OMOTENASHI PROFESSIONAL」と刻まれた特製バッジが贈られ、レストランでの食事券が副賞としてプレゼントされた。また、グランプリ獲得者の名前を刻印し、客室センターに飾られる盾が渡された。

 15人には今後、PR活動やチャーター便への優先アサインなど、会社を代表する仕事の機会が用意される。

*写真特集はこちら [1]

チーム部門に出場した「Kore-ANA FIRSTCLASS」の応援団=16年12月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANA訓練センターの客室モックアップで開かれた第4回OMOTENASHIの達人コンテスト=16年12月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ビジネスクラスの乗客役と会話するユンさん=16年12月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ビジネスクラスの乗客役と会話するユンさん=16年12月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ギャレーでドリンクサービスの打ち合わせをする(左から)イさん、キムさん、ユンさん=16年12月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

韓国チームの客室乗務員が新婚旅行の乗客役にプレゼントしたお祝いのメッセージカード=16年12月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ビジネスクラスの乗客役と会話するキムさん=16年12月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ビジネスクラスの乗客役と会話するキムさん=16年12月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ビジネスクラスの乗客役と会話するキムさん=16年12月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ギャレーで機内食を盛り付けするイさん=16年12月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ギャレーで機内食を盛り付けするイさん=16年12月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

個人部門フレッシャーズ層で優勝したクライピットさんの応援団=16年12月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ビジネスクラスに搭乗した老夫婦を接客するクライピットさん=16年12月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ビジネスクラスに搭乗した老夫婦を接客するクライピットさん=16年12月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

個人部門エキスパーティーズ層で優勝した神野さんの応援団=16年12月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

息子を自慢する母親と会話する神野さん=16年12月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

チーム部門で優勝した「Kore-ANA FIRSTCLASS」のメンバー=16年12月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

チーム部門で優勝し挨拶するキムさん=16年12月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

個人部門フレッシャーズ層で優勝し挨拶するクライピットさん=16年12月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

個人部門エキスパーティーズ層で優勝し挨拶する神野さん=16年12月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

個人部門エキスパーティーズ層で優勝し挨拶する神野さん=16年12月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

チーム部門(敬称略、括弧内は入社年度)
Sun!Sun!サンバ!(乗務3課)
安田 麻衣(02年度)
扇谷 知尋(10年度)
廣江 美菜子(11年度)

Kore-ANA FIRSTCLASS(海外乗務課)
イ ウンジ(12年度)
ユン ヒェウン(12年度)
キム ダンビ(12年度)

個人部門 フレッシャーズ(敬称略、括弧内は入社年度と所属)
三島 真愛(14年度、乗務第8課)
池田 友菜(13年度、乗務第1課)
ラシリオラポン クライピット(15年度、海外乗務課)
吾田 亜美(14年度、乗務第7課)

個人部門 エキスパティーズ(敬称略、括弧内は入社年度と所属)
木下 広美(78年度、大阪乗務課)
ウィンクラー ゆり(06年度、乗務第4課)
松本 伸子(91年度、乗務第9課)
奈良井 範子(91年度、乗務第2課)
神野 久美子(85年度、乗務第6課)

関連リンク
全日本空輸 [2]

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