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エア・ドゥ、新千歳空港すり抜け「賠償請求しない」

 エア・ドゥ(ADO/HD)は10月6日、新千歳空港で同社便の女性客が保安検査場をすり抜けて出発したことで、2万人以上に影響が及んだ問題について、損害賠償を今回は求めない考えを示した。

新千歳空港で保安検査場をすり抜けた女性客に対して損害賠償を求めない考えを示したエア・ドゥ=16年6月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 新千歳での保安検査すり抜けは、8月5日午後0時13分ごろ、国内線ターミナルビルで発生。若い女性客1人が保安検査場の金属探知機を通過しないまま、エア・ドゥの午後0時20分発羽田行きHD20便に搭乗した。

 同便が出発後、女が金属探知機を通過していないことが判明し、保安検査場を閉鎖。国内線全便の運航を停止し、機内や搭乗待合室など、制限エリア内にいた約1000人にのぼる全乗客がエリア外に出され、再検査を受けた。

 再検査のため、各社合計で欠航11便と遅延159便の計170便、2万2397人に影響が及んだ。一方、女は羽田に到着後、身柄を拘束されることなく空港を後にしている。

 エア・ドゥの草野晋副社長は、Aviation Wireに対し、被害額について「計算が難しく、今のところ計算できていない」と説明。女への損害賠償請求は「検査場の不備などもあったので、今回の事項を認識してもらい、反省を求めていく」と述べるにとどめた。

 今回のすり抜けは、女が保安検査場で搭乗券を読み取り機にかざした際、搭乗手続きが完了していなかったため、警備員がその場で待機するよう求めた段階で発生。警備員が対応を協議するために離れた隙に、金属探知器横の幅約1メートルの隙間から制限エリアに侵入し、女の行方が分からなくなった。

 警備員が空港内を探したほか、保安検査場を通過後の制限エリア側では、北海道警の警察官が警備していた。搭乗口に着いた女は、エア・ドゥの地上係員に「搭乗券をなくした」と申告。購入履歴や本人確認がとれたことで羽田行きHD20便に搭乗した。

 国土交通省航空局(JCAB)は9月13日、航空各社や全国の空港管理者などに対し、保安検査場でのすり抜けへの再発防止策を指示。国交省は「不正入場などにより生じる旅客の再検査、航空便の欠航や遅延などの損害は、賠償請求の対象となり得る。発見次第、警察に通報する」としている。

関連リンク
エア・ドゥ [1]
国土交通省 [2]
新千歳空港 [3]

新千歳空港のすり抜け、国交省が再発防止策「警察に通報」 [4](16年9月13日)
新千歳空港、1000人再検査で2万人影響 すり抜けた女は羽田着 [5](16年8月6日)
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