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MRJ、8月中に米国試験へ 特集・森本社長インタビュー

 7月11日からロンドン近郊で開かれたファンボロー航空ショー。2年に一度開かれる世界最大規模の航空ショーで、三菱航空機が開発中のリージョナルジェット機「MRJ」は、スウェーデンのリース会社ロックトンとMRJを最大20機発注する契約締結に向け、基本合意(LOI)に至った。

 受注に至れば、欧州初の契約獲得となるMRJ。メーカー標準座席数が88席のMRJ90と、76席のMRJ70の2機種で構成され、エンジンはいずれも低燃費や低騒音を特長とする、米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)製のギヤード・ターボファン・エンジン「PurePower PW1200G」を採用する。

MRJの発注に向けて基本合意に達したロックトンのルンド社長(右)に模型を手渡す三菱航空機の森本社長=16年7月11日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 MRJはこれまでに6社から確定発注223機、オプション160機、購入権24機の最大407機の受注を獲得。2月には米国の航空機リース会社エアロリースと最大20機(確定発注10機、オプション10機)の契約に向けてLOIを締結したが、現時点で確定発注に至っていない。

 一方、MRJと同じエンジンを搭載するリージョナル機大手エンブラエルの新型機「E190-E2」は、予定を大幅に前倒しして5月23日に飛行試験初号機(登録番号PR-ZEY)が初飛行に成功。MRJと同サイズの機体であるE190-E2は、同じく2018年の納入開始を目指す。

 競争が激化する中、三菱航空機はMRJの飛行試験初号機(登録番号JA21MJ)を使い、今夏には米ワシントン州モーゼスレイクで飛行試験を始める計画だ。

 この「今夏」とはいつを指し、飛行試験機4機はいつまでに米国へ持ち込むのか、なぜロックトンとはLOIにとどまったのか──。今後の課題や現状について、ファンボローで三菱航空機の森本浩通社長に聞いた。

—記事の概要—
サポートで機体価値決まる
年内に4機米国へ

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── 森本社長にとって2回目の航空ショーを迎えた。航空機ビジネスに慣れたか。

ファンボローでインタビューに応じる三菱航空機の森本社長=16年7月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

森本社長:今回は機数としては大きくはないが、欧州で実績が出来る意義は大きかった。これからの展開につながるという意味では良かった。

 話のテンポについていけない部分はまだあるが、ディテールは各専門の担当者がいるし、相手と仲良くしていくのはどのビジネスも一緒。しかし、単に仲良くなるだけではなく、商談につなげていきたい。

 航空のビジネスは、私が前にいた重電機業界と比べると、より人間関係が生きてくると感じている。

── エンブラエルはE2シリーズで巻き返してきている。

森本社長:私たちは小学校1年生くらいのもの。圧倒的に先方の方が実績や体制が充実している。彼らのレベルになるよう、一生懸命追いつくことだ。

── E2はMRJと同じGTFエンジンを採用した。MRJの優位性をアピールしてきた中で、どういう部分が相手に評価されたと感じたか。

森本社長:工場に来ていただき、現場や機体を見ていただいたのが