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「インドが空白地帯」特集・JAL大西会長に聞く路線機材計画(路線編)

 日本の空が新たなステージを迎えようとしている。日本航空(JAL/JL、9201)は5月、欧州路線の共同事業(JV)にスペインのイベリア航空(IBE/IB)を加える独占禁止法適用除外(ATI)を、国土交通省へ申請した。

 一方、全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(9202)は、ベトナム航空(HVN/VN)へ出資。これまでベトナム航空はJALとコードシェアを実施していたが、10月30日からの冬ダイヤではANAに切り替える。

 そして、2020年開催の東京オリンピックまでに投入する機材については、客室仕様を最終決定するタイムリミットが近づきつつある。

 6月1日から3日まで、アイルランドの首都ダブリンでIATA(国際航空運送協会)の第72回AGM(年次総会)が開かれ、航空会社や機体メーカー、航空機リース会社の首脳らが一堂に会した。

 AGMに出席したJALの大西賢会長とANAの篠辺修社長に、路線計画や機材の見通し、航空会社間の提携について聞いた。

 第1回目は、JALのネットワークや提携戦略について。JALが課題とするネットワークはどこで、失ったベトナムでは路線をどう展開し、アジアではどこと共同事業を展開していくのか。そして、アライアンスという枠組みは、今後どう変化していくのだろうか。

—記事の概要—
インド「完全な空白地帯」
共同事業は万能にあらず
東南アジア「3、4社しか残らない」

インド「完全な空白地帯」

ダブリンでインタビューに応じたJALの大西会長=16年6月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

── JALが加盟するワンワールドで新しい取り組みはあるか。

大西会長:この5年でワンワールドはすごく伸びた。旅客数でも、売上高でも約1.5倍増えた。小さいところ含めると、エア・ベルリン(BER/AB)やマレーシア航空(MAS/MH)、カタール航空(QTR/QR)、スリランカ航空(ALK/UL)、ブラジルのTAM航空(TAM/JJ)が加盟し、アメリカン航空(AAL/AA)がUSエアウェイズをくっつけた。

 ワンワールドの中では、質を上げようという話になっている。僕らの根っこに帰ろう、とね。規模の拡大が急速に進んだ。アライアンスの中では、一番拡大したと思う。

 JALという観点で言うと、香港を除いた中国にワンワールドの仲間はいないけど、2社間提携の相手はいる。JAL以外は中国の仲間が欲しいと言うが、我々はインドが完全な空白地帯になってしまっている。インドをワンワールドの仲間でやるか、独自でやるかが、地域的なスポットでは重要なところだ。

── ベトナム航空がANAと組んだ。

大西会長:アジアの国はどこでもそうだが、その国の国内にどう入り込むかが非常に大切。我々としては、ベトナム航空を失うのはつらい。代わりに何かを求めなければいけない。

 我々のベトナムの拠点は南北にあるので、ダナンなど真ん中が攻められない。そこへフィードするための、何らかの方策を考えなければいけない。

 ベトナムはベトナム航空以外何もないのかと言えば、そういうことはない。ベトジェット航空(VJC/VJ)をはじめ、他社もある。そういうところと何が出来るかを検討していかなければならない。

── フランスやドイツはどうか。フランスはエールフランス航空(AFR/AF)が、ドイツはルフトハンザ ドイツ航空(DLH/LH)がナショナルフラッグキャリアで、ワンワールド加盟社ではない。

大西会長:フランスとドイツはやはり攻めきれていない。フランスはエールフランスが強く、僕らは