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「有森と行動する」スカイマーク井手氏復権、仰天人事の真相 特集・エアアジア・ジャパン背水の陣(前編)

 Aviation Wireが11月27日にスクープした、エアアジア・ジャパン(DJ)のトップ交代劇。その後、小田切義憲氏がCEO(最高経営責任者)を辞任し、スカイマーク(SKY/BC)の井手隆司前会長と有森正和前社長を新経営陣に迎えると、30日に正式発表した。

 12月1日からは井手氏が代表権のある会長、有森氏がCFO(最高財務責任者)に就き、新CEOには、エアアジア・ジャパンの秦修(はた・おさむ)前CFOが昇格した。しかし、プレスリリースにあった「経営体制の強化」とは裏腹に、2016年春の就航そのものが疑問視される状況になっているのだ。

 交代劇の裏側については、週刊東洋経済(東洋経済新報社)の2015年12月19日号(14日発売)に、「仰天人事に渦巻く思惑 エアアジアの暗夜行路」と題した続報を寄稿した(関連記事 [1])。

 しかし、紙面の都合上、割愛した内容も多かった。本記事では、週刊東洋経済に寄稿した内容を補足しつつ、新たな事実にも触れていきたい。

中部空港で歓迎の放水アーチをくぐるエアアジア・ジャパンのA320初号機=10月16日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
AOC取得に不可欠だった小田切氏(前編)
仰天の返り咲き(前編)
飛行機を飛ばせない(後編)
DJはドラゴン・ジャパン(後編)

 前編では、仰天人事の真相に迫る(後編はこちら [2])。

AOC取得に不可欠だった小田切氏

 「小田切さんがいなければ、AOCを取ることは出来なかっただろう。なぜ今なのか」。全日本空輸(ANA/NH)出身の小田切氏を知る関係者は、今回の人事に首をかしげる。

日本再参入を表明するエアアジア・ジャパンの小田切CEO(当時)=14年7月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 10月6日、エアアジア・ジャパンは国土交通省航空局(JCAB)から航空会社として就航するために必要となる、航空運送事業の許可(AOC)を取得。晴れて「航空会社」を名乗れるようになった。同月16日には、エアバスA320型機の初号機(登録番号JA01DJ)が、拠点とする中部空港(セントレア)に到着し、就航に向けた準備が進みつつあった。

 エアアジアが日本市場に再参入すると