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オリックス・ヴァンシ連合、新関空会社と運営権契約 関空・伊丹民営化

 新関西国際空港会社は12月15日、関西空港と伊丹空港の運営権売却について、新会社「関西エアポート」と正式契約を結んだ。2016年4月1日からは関西エアポートが両空港を運営する。

 関西エアポートは、運営権を落札したオリックス(8591)と仏空港運営会社ヴァンシ・エアポートのコンソーシアム(企業連合)が新たに設立した特定目的会社(SPC)。関西エアポートの社長には、オリックスの山谷佳之副社長が、副社長にはヴァンシのエマヌエル・ムノント氏が就いた。

関空・伊丹の運営権売却で契約書を交わす(左から)新関空会社の安藤社長と関西エアポートのの山谷社長、ムノント副社長=12月15日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

44年契約

 事業開始時点では、オリックスとヴァンシが関西エアポートの株式を40%ずつ、関西を拠点とする企業・金融機関30社が残り20%を保有。資本金は12億5000万円で、本社は大阪市に置く。事業を開始する4月1日まで、新関空会社と引き継ぎを進めていく。

 オリックス連合の契約期間は12月15日から2060年3月31日までの44年間を予定。運営権の対価は490億円超のほか、収益の1500億円を超えた額の3%分を追加で支払う。履行保証金は1750億円とした。

 関西エアポートは滑走路の運営や維持管理といった航空系事業と、ターミナルビルの運営など非航空系事業を担う。空港用地や施設は、新関空会社と関西国際空港土地保有会社が所有を維持する。

 新関空会社の安藤圭一社長は、「法令遵守をし 安全安心を第一に運営して欲しい」との意向を示した。オリックスの井上亮社長・グループCEOは「関空はLCCを早くから誘致してきた。素晴らしい運営実績を引き継ぎ、民間の力で発展させていく」と語った。

 また、フランスやポルトガル、カンボジアなどで空港運営を手掛けるヴァンシ・エアポートのニコラ・ノートバール社長兼CEOは、「25空港を運営しており、関空と伊丹で27空港になる。さまざまな国と結ぶことで関西に貢献したい」と述べた。

アジア第一に路線誘致

 関西エアポートの山谷社長は、「アジア太平洋地域の先駆者として、ワールドクラスの運営会社を目指す。空港のグローバル競争で勝ち残る」と、意気込みを語った。

 これまで関空は中国や台湾、香港、韓国とアジアのLCC(低コスト航空会社)を中心に誘致してきた。一方、フルサービス航空会社による欧米路線は、誘致に苦戦。今年3月に日本航空(JAL/JL、9201)が関西-ロサンゼルス線を約8年ぶりに再開したが、ロンドン線など課題が残る。

 関西エアポートのエマヌエル・ムノント副社長は、今後の航空会社の誘致について、「アジアが第一優先。中国・韓国をかなりカバーしているが、よりフォーカスし、アジア太平洋地域に拡大したい」と語り、「北米や欧州も重要であり、中東にも目を向けたい」と、全方位的な考えを付け加えた。

関連リンク
新関西国際空港株式会社 [1]
関西国際空港 [2]
大阪国際空港 [3]

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