- Aviation Wire - https://www.aviationwire.jp -

エミレーツ、成田に豪華専用ラウンジ 特集・日本重視のエミレーツ航空

 シャワー付きのファーストクラスなど、豪華さが際立つエミレーツ航空が、成田空港に専用ラウンジをオープンした。同社が日本にラウンジを開設するのは初めてで、世界では38番目となる。中東の航空会社が、成田にラウンジを設けるのも初めてだ。

 成田空港第2ターミナルにオープンした新ラウンジは、ファーストとビジネスクラスの乗客と、エミレーツのマイレージ・プログラム「エミレーツ・スカイワーズ」のゴールドとプラチナ会員が利用できる。

エミレーツ航空の成田ラウンジに用意されたドーム型冷蔵容器に入ったスイーツやフルーツ。反対側にはお寿司やサラダも=15年6月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
機内の雰囲気をラウンジにも
日本は「大変重要な市場」
A380再就航も検討

機内の雰囲気をラウンジにも

 新ラウンジのオープンはは6月11日。従来は日本料理店などがあった場所に敷地面積936.43平方メートル、座席数174席の広々としたラウンジを新設した。内装はエミレーツのファーストクラスやビジネスクラスに通じるもので、高級感や落ち着いた雰囲気を演出している。

豪華な内装が自慢のエミレーツ航空のA380に設けられたファーストクラス。成田のラウンジも機内の雰囲気を取り入れた=12年7月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

A380のシャワールームは床暖房も完備=12年7月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 光沢のある木目や大理石、アースカラーを採用し、快適さと座り心地にこだわったイタリア製レザーシートを配した。液晶ディスプレーではニュースやエンタテインメント番組を放映し、無料Wi-Fiサービス、車いす対応も含むシャワー施設を揃え、中東の航空会社らしく礼拝室も用意した。

 フライト直前まで仕事を続けられるよう、プリンターなどを揃えたビジネスセンターも設置し、ビジネス客と観光客ともに出発前の時間を過ごせる空間に仕上げた。

 新ラウンジでは、食事にもこだわった。和食をはじめとする多彩な料理とドリンクをビュッフェ形式で用意。日本人も好むカレーは複数用意し、調理したての料理もある。開業した6月は天ぷらが提供された。

 ビュッフェ中央にはドイツ製の大きなドーム型冷蔵容器があり、ケーキやチーズも手に取れる。これらの料理はいずれも、イスラム教徒(ムスリム)も食べられるよう、ハラールの調理方法や食材で調理している。

 飲み物はシャンパンやワイン、ウィスキー、ジンなどの酒類が、おつまみと共に並ぶ。コーヒーメーカーやパンも揃い、ソフトドリンクでは。コーラはコカコーラとペプシが揃っていたが、ドクターペッパーはなかった。

 新ラウンジのオープン時間は、火曜と水曜が午後5時20分から午後9時20分まで、その他の曜日が午後6時から午後10時まで。

日本は「大変重要な市場」

羽田を出発するエミレーツ航空の初便=13年6月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 エミレーツが豪華ラウンジを成田に開設した背景には、日本市場を重視する同社の戦略がある。

 同社は2002年、関西-ドバイ間の直行便を開設。日本と湾岸地域を結ぶ、初の航空会社として就航した。これまでに日本-ドバイ便を300万人以上が利用したという。

 現在は関西線のほか、2010年就航の成田線、2013年開設の羽田線を毎日1往復ずつ運航し、ドバイをハブとして中東やアフリカ、欧州など世界81カ国146都市に接続している。

 また、エミレーツには現在430人以上の日本人スタッフが在籍、日本路線の各便では、6人以上の日本人客室乗務員が乗務しているという。

 エミレーツのニック・リース日本支社長は、日本市場を「エミレーツにとって大変重要な市場」と位置づけ、「当社の優れたサービスを、搭乗前から体験して欲しい」と、専用ラウンジ開設の狙いを語る。

A380再就航も検討

 成田のラウンジを利用する日本人の渡航先については、ドバイのほかに「アフリカや湾岸地域、中東へ乗り継ぐ」(リース支社長)としており、「成田を利用するお客様は、ドバイ経由が最も効率的で便利と考えている」と分析。また、ドバイ経由ではローマやパリ、バルセロナ、カサブランカ、ロンドンといった欧州の各都市も人気だという。

成田空港に到着し、消防車による放水アーチで迎えられるエミレーツ航空のA380=12年7月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

専任のスタッフがいるA380のファーストとビジネス専用ラウンジ=12年7月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 反対にドバイから日本へ向かう乗客は、アラブ首長国連邦をはじめとする湾岸諸国だけではなく、エミレーツが就航する各都市からドバイ経由で乗り継いでくる利用者が増えていると話す。

 ビジネス需要と観光需要については、「利益面では、レジャー利用のお客様がビジネス利用のお客様を若干上回っているが、当社のすべての日本路線での成功は、ビジネス需要が大きな役割を担っている」(リース支社長)との見方だ。

 成田線と羽田線では、エコノミークラスの席数の多い成田線の方が、団体旅行にも対応しやすいため、観光需要が多いという。

 現在日本路線の機材は、成田線と関西線がボーイング777-300ER型機、羽田線が777-200LRを使用している。一方、2012年7月から成田線に導入した総2階建てのエアバスA380型機については、羽田線開設とともに777-300ERへ“小型化”している。

総2階建てのA380ならでは階段。アッパーデッキへは機体前方が通常の階段で後方はらせん階段=12年7月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 「A380のサービスは日本で大変人気があったので、近い将来日本路線への再導入したい。当面は777によるサービスを楽しんで欲しい」(リース支社長)と、A380の再就航に含みを持たせた。

 今後の日本市場については、「日本はエミレーツにとって重要な市場であるため、日本へのサービス拡充は最優先事項と考えている。日本市場へはすでに高品質なサービスを提供しているが、さらなるサービスレベルの向上に投資を続けたい」と語った。

 中東の雄は、これから日本市場向けにどのようなサービスを展開するのだろうか。

*写真は43枚(ログインすると料理などすべてご覧いただけます)

成田空港の専用ラウンジで出迎えるエミレーツ航空の係員=15年6月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

落ち着いた色調でイタリア製ソファを配した成田ラウンジ=15年6月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

豪華な雰囲気を演出するインテリア=15年6月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

機内のインテリアと通じる雰囲気の成田ラウンジ=15年6月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

機内と統一した雰囲気で仕上げた成田ラウンジ=15年6月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire