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植木社長「事故忘れず安全守る」 JAL、66期株主総会

 日本航空(JAL/JL、9201)は6月17日、第66期株主総会を東京・千代田区の日本武道館で開催した。配当や定款の一部変更、取締役選任など、3つの議案をすべて可決して閉会した。

日本武道館で開かれたJALの株主総会=6月17日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 株主からは、今年8月で発生から30年となる御巣鷹山へのJL123便墜落事故に関連した安全面や、顧客満足向上、機材に関する質問が出た。

 総会で議長を務めた植木義晴社長は、「30年目だからというわけではなく、航空会社はいつでも安全を守っていかなければならない。事故を忘れることなく振り返りながら、社員たちと安全を築いていきたい」と述べた。植木社長は、3万2000人の社員には当時のニュース映像などを見せて、安全教育を実施したという。

 同社の機長が運航中のコックピット内で写真撮影をし、見張り業務を怠った事例については、「誰か1人、というわけでなく、社員全員に心の隙やゆるみがあるのではないか。全員で反省し、安全を作っていきたい」と述べた。

 顧客満足向上については、機内でのサービス面を中心に意見や要望が出た。このうちエコノミーでの食事の選択については、後部座席の場合、希望する食事を選択できないことが多く、オンラインでの航空券予約時に食事の予約を受け付けをしてほしいとの意見が出た。

 会社側は、事前予約は検討しているとした上で、「要望に応じられないケースが発生していることは把握している。バランス良く搭載したい」とし、「どちらを選んでもおいしいことが大切」と続けた。

 また、国内線のイヤホンについて、希望者だけでなく全席に配置してほしいとの要望については、「昨今は機内インターネットなどの導入で過ごし方が多様化している」とし、全席で配置する予定はないとしたものの、要望に応じて対応する姿勢を示した。

 導入時にバッテリー故障などが続いたボーイング787型機について、株主の1人からは、トラブルを抱えた機種というのを知っていて導入したのかとの質問が出た。運航乗務員出身の植木義晴社長は、「導入を決めたのは、(植木社長より)3代くらい前の社長。787は中型機でありながら長距離を運航できる。ボストン路線は需要としては中くらいだが飛ばすことができる」とし、「787はJALにも日本にも欠かせない機材」との認識を示した。

 2019年から導入を予定しているエアバスA350 XWBの安全性については、会社側は「ローンチカスタマーのカタール航空(QTR/QR)からは、とくに問題なく運航できていると聞いている。導入にあたっては、エアバスに人員を派遣し情報を収集している。準備はこれから本格化させる」とした。

 配当は普通株式1株104円で、配当総額は377億705万5672円。これまでは連結純利益の20%程度を配当に充てる方針だったが、連結純利益から法人税等調整額を除いた額の25%程度に改めた。

 定款の一部変更は、今年5月1日に改正された会社法によるもの。

 新役員体制については、新たに乘田俊明・専務執行役員と小林栄三・伊藤忠商事(8001)会長の2人を取締役に選任。取締役は昨年と同じく9人(うち2人は社外取締役)となった。小林会長は社外取締役。

 入場者数は1104人で、昨年の1135人より減少。所要時間は昨年より12分短い2時間14分だった。質問者数は昨年より2人増の15人。議事進行を妨げて退場処分となった株主が昨年は2人いたが、今年は0人。株主の一部からは「会場への入り口が遠い」「質問者数が昨年より少ない」などといった動議が提出されたが、いずれも不成立となった。

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日本航空 [1]

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