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JAL、運航中の操縦室で機長とCA記念撮影 見張り怠る

 日本航空(JAL/JL、9201)は6月12日、同社の機長が運航中のコックピット内で写真撮影をし、見張り業務を怠ったと発表した。JALは機長を乗務停止とし、国土交通省航空局(JCAB)は同社に厳重注意した。

JALの737−800(同型機)=15年1月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 JALによると、トラブルは7日午前8時ごろ、札幌発伊丹行きJL2000便(ボーイング737-800型機、乗客42人、パイロット2人、客室乗務員4人)が函館上空付近を上昇中に起きた。同便が高度1万フィート(3048メートル)を通過し、シートベルトサインが消え、副操縦士がトイレに行くため、3分程度離席した。その際、コックピット内に最低2人の乗員が常駐する規定に基づき、客室乗務員が入室し、機長が記念撮影した。

 機長は客室乗務員を副操縦士が座っていた操縦席の右席に座らせ、機長が持っていたスマートフォンで自分と客室乗務員が写る状態で撮影。その後、副操縦士がコックピットに戻って右席に着席し、客室乗務員は退室した。

 客室乗務員と並んで写真撮影した状態では、機長が外部監視を十分行えないため、航空法が定めるパイロットの見張り義務を果たしていなかった。

 また、コックピット内では、会社が使用を認めた電子機器以外の使用を社内規定で禁じており、機長が私物のスマートフォンを使用したことは、この規定に反していた。右席に着席した行為も、緊急時や運航の安全上必要な場合を除いてパイロット以外の着席を禁止している社内規定に違反していた。スマートフォンは撮影時、機内モードになっていた。

 機長が外部監視を怠ったのは10数秒間とみられ、当日夜、コックピット内に入った客室乗務員から所属部署に相談があり、翌日の8日午後に会社へ報告があった。客室乗務員はコックピット内で機長が私物のスマートフォンを使った点について、社内規定上問題があったのではと、疑問に感じたという。JALは報告を受け、機長を8日に乗務停止にした。

 一方、機長は副操縦士が戻るまで、客室乗務員が立って待っているのを気にして、座るように勧めた。また、飛行中のコックピット内に客室乗務員が入る機会がなかなかないため、記念写真を撮ることを提案したという。

 JCABは3月に起きたルフトハンザ・グループのLCC(低コスト航空会社)、ジャーマンウイングス(GWI/4U)の4U9525便墜落事故を受け、4月に国内の航空会社に対し、コックピットへの乗員2人以上の常駐を義務付けた。JALはこれに基づき、コックピット内の2人以上の常駐を規定で定めており、今回もこれに基づいて客室乗務員が入室した。

 JALは「ご心配とご迷惑をおかけしたことを、深くお詫びします」とコメント。対象者を社内規定に基づいて厳正に処分し、再発防止策を徹底するとしている。

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日本航空 [1]

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