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ジャムコ、シートのシェア10%目指す 777ギャレーは買い控え続く

 航空機内装品大手のジャムコ(7408)は、2015年度から2017年度の中期経営計画で、連結売上高1000億円を目指す。

 2015年3月期の売上高は前期(14年3月期)比で18.5%増の769億円で、主力の内装品事業は631億円だった。計画最終年度の2017年度には、内装品を830億円まで伸ばす。また、新規参入したシート事業については、シェアを10%程度まで高める。一方で、ボーイングの長距離国際線用大型機777-300ERの後継機777Xの開発が始まったことで、主力である777-300ER向けギャレー(厨房設備)の受注が落ちており、これを補う施策が課題となる。

16年度から777向け新型ラバトリー

シンガポール航空のビジネスクラスシート=13年10月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 計画初年度の2015年度は売上高が前期比16.7%増の898億円(内装品748億円、機器製造68億円、整備82億円)で経常利益は10.4%増の86億4100万円を、2016年度は売上高947億円(内装品788億円、機器製造75億円、整備84億円)で経常益92億5700万円を、2017年度は売上高994億円(内装品830億円、機器製造78億円、整備86億円)で経常益101億1400万円を計画する。

 同社の内装品の世界シェアは、ギャレー(厨房設備)が3割、ラバトリー(化粧室)が5割を占める。ギャレーは航空会社との契約になり、100社以上へ納入しており、機体ではボーイング747-8と777、787、767、737、エアバスA380、A340、A330、A320に搭載されている。ラバトリーは、747-8と777X、777、787、767について、ボーイングへ独占供給している。

 5月14日に都内で開いた決算説明会で、鈴木善久社長は2014年9月に受注した777Xのラバトリー(化粧室)について、「厳しい商戦だった」と説明。既存の777-300ERには、室内の広さをやや狭くして設置面積を小さくする「スリムラインラバトリー」の導入を、2016年から始めることを明らかにした。

 航空会社から受注するギャレーについては、777Xの開発決定により、主力の777-300ER向けは買い控えが生じている。鈴木社長は「777-300ERは、横ばいか少し減ってきている。777Xの引き渡しが近づくと、もう少し下がるだろう」と述べ、この状況が2、3年程度続くとの見方を示した。

エアバス向けとシート強化

 ギャレーの売上減を補い、第4の柱としての育成するシート事業は、これまでに6000席を受注し、1000席強を納入した。2015年度に売上高は100億円を超え、2017年度に向けて拡大していく。同社のシート事業は現在シンガポール航空(SIA/SQ)が主軸だが、契約が確定した航空会社は「数社ある」(鈴木社長)という。

 4月に独ハンブルクで開かれた「エアクラフト・インテリアズ・エキスポ2015」では、外観を刷新した次世代コンセプト・ギャレーや、IFE(機内エンターテインメントシステム)を手掛ける米パナソニックアビオニクスと共同開発したファーストクラス用シートなどを展示。シート事業のシェアについて、鈴木社長は「2018年度には、10%近いシェアになるだろう」と語った。

 ラバトリーとギャレーを独占供給する787は、現在月産10機。鈴木社長は「内装品については、2014年度後半から月産12機に増産している」と述べた。

 従来ボーイング向けの取引が主力だったが、エアバスとの取引も拡大する。鈴木社長「シートの量産拠点と、エアバス向け拠点の確保を計画している」と述べた。また、6月に開かれるパリ航空ショーを目途に、エアバスとの新規契約を発表する見込み。

 競合する仏ゾディアックや米B/Eエアロスペースとの、ギャレーを中心とした受注競争について、鈴木社長は「ゾディアックとの勝負では勝っている。(ドルベースとなる)見積で価格的には遜色ない。決め手になるのは品質や技術、納期の3つで、これらが一番大きい。航空会社との信頼関係は長年築いてきたものがある」と自信を見せた。

 航空機の構造部材では、2014年4月に受注した777のフロアパネル(客室床板)をフィリピンで製造。今月下旬にクラークで工場の竣工式を行い、2016年度から本格生産に入る。

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