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ハワイを日本人が好む“古き良きおもてなし” JAL、ホノルル線60周年で遊覧飛行

 1954年2月2日、日本航空(JAL/JL、9201)の羽田-サンフランシスコ線は、北太平洋のウェーキとホノルル経由で就航した。日本とハワイを結ぶ定期便の歴史は、60年前のこの日に始まった。

 日本人にとって、海外旅行の代名詞であるハワイ。世界からハワイを訪れる人のうち、2割にあたる年間100万人以上が日本人だ。

 JALでは成田空港から3便、羽田と中部、関西の各空港から1便ずつの計6便がホノルルへ毎日向かう。1日10便以上あったかつてほどではないが、1日6便という便数の多さは日本人のハワイ好きを裏付けるものだ。

ダイヤモンドヘッド上空を飛ぶJL8014便=12月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

歴代制服着たCA、女性確認整備士がサイン

 ホノルル線就航60周年の今年、JALでは1984年から協賛しているホノルルマラソンのほか、地元映画祭への協賛など、さまざまなイベントを開いてきた。節目の年を締めくくるイベントとして現地時間12月20日、地元住民らを招いてハワイ島などを巡る遊覧飛行が行われた。

JALの客室乗務員とイゲ知事(右から3番目)=12月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田の整備士たちが作った「ミニレーター」も展示された=12月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 搭乗口前では記念イベントが開かれ、制服体験コーナーでは多くの招待客が記念写真に収まり、壁に展示された往年のポスターに見入る人も多かった。また、成田空港の整備士たちが製作した787のシミュレーター「ミニレーター」も用意され、子供たちは夢中になっていた。

 会場には機内でブリーフィングを終えた客室乗務員も登場。招待客の質問に答えたり、記念撮影に応じていた。

 遊覧飛行のJL8014便には、地元のシニアセンターのお年寄りや日系団体などの155人が搭乗。山本英樹機長(左席)と毛利洋志機長が操縦を担当した。オアフ島のホノルルを午後2時15分すぎに出発し、モロカイ島とラナイ島、マウイ島、カホオラウェ島、ハワイ島を1時間45分かけて遊覧し、午後4時にホノルルへ戻った。

 使用機材のボーイング767-300ER型機(登録番号JA609J)は、関西空港からフェアバンクスへのチャーター便で使用した機体をホノルルまでフェリー(回送)。遊覧飛行後は、福島へのチャーター便として22日にホノルルを飛び立った。

 客室乗務員は安倍智里客室責任者ら、福島チャーターのクルー7人が担当。このうち2人は、就航当時の2代目と人気の高い6代目の制服を着用し、紙飛行機など記念品を配った。

 JALにとって、海外拠点では最大規模のホノルル空港。2010年、JAL初の女性確認主任者となった武藤美希整備士は、2012年からホノルルで強い日差しの下、日本へ向かう機体を最終確認し、航空日誌にサインして機長に手渡す日々を送っている。JL8014便も武藤さんが担当し、遊覧飛行へ向かった。

好天に恵まれた遊覧飛行

 ホノルルを出発したJL8014便の左側に見えたモロカイ島は、ハワイの主要8島で5番目の大きさ。人口は7345人で、ハワイ先住民が多く、ハワイの伝統文化が今でも根づいている。

人気の高い6代目制服を着用した客室乗務員=12月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

マウイ島のホノルル(左上)を出発してモロカイ島とラナイ島、マウイ島、カホオラウェ島、ハワイ島を巡った遊覧飛行=12月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ラナイ島は信号がひとつもなく、舗装された道路は48キロメートルのみ。島の大きさはハワイで6番目、人口はもっとも少ない。

 ハワイで2番目に大きいマウイ島には、標高3055メートルのハレアカラ山がある。ハレアカラはハワイ語で「太陽の家」を意味し、山頂は雲の上に位置する。

 右側には、ハワイでもっとも小さいカホオラウェ島が見えてくる。極度に乾燥しており、「ターゲット・アイランド」とも呼ばれ、1994年に返還されるまでは米国海軍の爆撃演習に使われていた。

 そしてハワイ最大の島、「ビッグ・アイランド」ことハワイ島が姿を現わす。ハワイ諸島の他の島をすべて合わせた面積の2倍近い大きさを誇り、カメハメハ大王が生まれたのもこの島だ。

 眼下に見えるコナ空港には、1996年から2010年までJALの直行便が乗り入れていた。12月にハワイ州知事に就任したデービッド・イゲ氏は、ホノルル空港の混雑緩和策として、コナ空港の再国際化を公約に掲げている。機内では乗客との記念撮影に気軽に応じ、遊覧飛行を楽しんでいた。

 遊覧飛行は好天に恵まれたこともあり、窓の外の景色を眺めながら、終始機内は賑やかだった。

絵画コンテストで最優秀賞を受賞したブライアン君(中央)=12月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 今回のイベントでは、遊覧飛行の招待客からJALや飛行機をイメージした絵を募集。最優秀賞として、ハワイと日本の往復ペアチケットが当たるコンテストが開かれた。ホノルルへ戻る機内で、ブライアン・ナカソネ君(10)の絵が最優秀賞に選ばれると、ブライアン君と親族は大喜び。ホノルル空港に着いたブライアン君に、JAL総務本部長の日岡裕之執行役員からペアチケットがプレゼントされた。

 日岡氏は、2003年から2006年までホノルル支店に勤務。10年前は50周年イベントを取りまとめ、遊覧飛行を実施した。日本人がハワイを好む背景に「日系人の存在が大きい」と話す。

 「古き良き日本人のおもてなしの心が、日系人を通じてハワイに溶け込んでいる」(日岡氏)。気候や整備された商業施設だけではなく、日系人が受け継ぐおもてなしで、海外ながらも日本国内のように気負わず過ごせることが、ハワイ人気の理由の一つと言えるだろう。

 12月27日に出国のピークを迎える年末年始休暇でも、ホノルル線は高い予約率を誇る。60周年イベント終えて一息ついていたホノルル支店に、慌ただしい日々が再び訪れる。

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60周年記念のケーキ=12月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire