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スカイマーク、成田から10月撤退へ

 スカイマーク(SKY/BC、9204)は不採算路線の見直しとして、成田空港からの撤退を検討していることを明らかにした。エアバスA380型機の契約解除によるもので、A380就航を前提に進出した成田から夏ダイヤ最終日の10月25日までに撤退し、経営建て直しを図る。

成田からの撤退を検討するスカイマーク=12年6月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 現在SKYは成田と札幌、那覇、米子を結ぶ3路線を1日2往復4便ずつ、計1日6往復12便運航。6月のロードファクター(座席利用率、L/F)は全路線平均65.6%に対して、札幌線は67.9%、那覇線は64.5%、米子線は28.1%と、米子線以外は堅調だった。しかし、2013年の実績では閑散期に50%を割り込んでおり、会社側も不採算路線と認識していた。

 また、成田を拠点とするLCC(低コスト航空会社)との競争から、運賃を低価格に抑えざるを得ない状況が続いており、拠点を維持するコストなどを勘案して撤退を検討する。同じく利用が低迷している米子-札幌線も、運休を視野に検討が進められている。

 SKYが成田に就航したのは2011年10月30日。A380導入時の発着枠確保や、2012年のLCC就航を見据えて進出した。A380では同社初の国際線定期便として、成田-ニューヨーク線を2015年夏までに開設する予定だった。

 A380を導入できなくなったことで、同社では国際線にA330を投入する検討を進めており、羽田からの深夜便などで、シンガポールやハワイ、バンコクなど中距離路線への参入を目指す。

 A380導入を巡っては、7月にエアバス側が6機全機の契約解除をSKYに通告。違約金として7億ドル(約700億円)が発生すると言われており、このほかにエンジンメーカーである英ロールス・ロイスをはじめ、シートやギャレー(厨房設備)のメーカーからも違約金を求められる可能性がある。

 現在SKYが運航する機材は、ボーイング737-800型機(177席)が30機、エアバスA330-300型機(271席)が3機で、いずれもリース機。737のうち、1機は12月でリース契約が終わるため、10月から運航を離れて返却整備に入る。

 737-800のリース料は、航空会社の与信にもよるが「月額30万ドル(約3000万円)程度が相場」(大手商社OB)と言われている。これに燃料費や人件費、整備費、着陸料などを加えると、1機あたりの運航コストは月に2億円を超える。重整備などで運航できない期間も、人件費などで4割程度はかかるため、航空会社により差があるものの、SKYでは737だけで毎月60億円前後の支出が発生しているとみられる。

 2014年4-6月期(第1四半期)決算は、57億円の最終赤字(前年同期は12億4100万円の赤字)だった。2015年3月期通期の業績見通しは据え置きで、国内線の売上高が1044億4000万円(14年3月期比21.5%増)、営業利益が3億1200万円、経常利益が6億4400万円、純利益が3億5400万円。想定為替レートは1ドル100円で、燃油費は1バレル106ドルを見込む。

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