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ボーイング777Xの分担比率21% 現行777踏襲、三菱重工と川重、富士重、新明和、日飛が参画

 ボーイングは6月12日、777型機の後継となる777Xの製造に日本企業5社が参画すると発表した。分担割合は、現行の777と同じ主要構造部位の約21%。

777Xの製造参画が決まり握手を交わすボーイング民間航空機部門のコナー社長(右)とJADCの大宮理事長=6月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

会見会場に飾られた777-9Xの模型=6月12日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 参画するのは、三菱重工業(7011)と川崎重工業(7012)、富士重工業(7270)、新明和工業(7224)、日本飛行機。また、777Xを開発する際の日本側の窓口として、日本航空機開発協会(JADC)が各社の取りまとめを担う。

 777Xでは、現行777の担当部位を基本的に踏襲。三菱重工が後部と尾部胴体、乗降扉を、川崎重工が前部と中部胴体、主脚格納部、貨物扉を、富士重工が中央翼、中央翼と主脚格納部の結合、主脚扉、翼胴フェアリング(前部)を、新明和が翼胴フェアリング(中・後部)を、日飛が主翼構成品の製造を担当する。

 一方、787では三菱重工が担当する主翼は、ボーイングがワシントン州エバレットの自社工場で製造する。

777Xの製造分担図。青がボーイング、赤が日本企業、緑がその他の分担(ボーイングの資料から)

 777Xは777-8Xと777-9Xの2機種からなり、生産開始は2017年、初号機の引き渡しは2020年を予定。3クラスの標準座席数は777-8Xが350席、777-9Xが400席、航続距離は777-8Xが9300海里(1万7220キロメートル)以上、777-9Xが8200海里(1万5185キロメートル)以上を計画している。

 新型主翼は現行の777の主翼よりも長く、折りたたみ式ウィングチップと合わせ、運航中に効率性を高めて燃料消費量を大幅に抑制し、地上では搭乗ゲートへの適応柔軟性を持たせる。

 競合機は777-8XがエアバスA350-1000型機で、777-9Xは現時点で存在しない。ボーイングでは、A350-1000との比較で燃費は12%向上し、運航コストは10%減少するとしている。機体価格はカタログ価格で、777-8Xが3億4980万ドル(約353億2980万円)、777-9Xが3億7720万ドル。国内では、全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(9202)が今年3月、777-9Xを777-300ERの後継機として20機発注している。

 来日したボーイング民間航空機部門のレイ・コナー社長は、日本の分担比率について「現行の777とほぼ同じ比率だが、まず第一歩として発表した。さらに分担をお願いするかや他国のサプライヤーの比率などはまだ決まっていない」と述べた。

 また、主翼の分担については「エバレットがさまざまな理由から適切な場所との結論に至った」と述べた。一方、三菱重工の鯨井洋一副社長は「777Xの主翼は米国で製造する前提で開発されているので、主翼について(製造を)検討したことはない」と語った。

関連リンク
Boeing [1]
ボーイング・ジャパン [2]
日本航空機開発協会 [3]
三菱重工業 [4]
川崎重工業 [5]
富士重工業 [6]
新明和工業 [7]
日本飛行機 [8]

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