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トゥンクトゥンク特別塗装機の巨大デカール、どう貼る? 特集・ JAL整備士が語る貼付の難所

 日本航空(JAL/JL、9201)は、協賛する2027年国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027、横浜グリーンエクスポ)の公式マスコット「トゥンクトゥンク」をあしらった特別塗装機を11月中に就航させる予定だ。こうした機体を彩る大きなデカールは、どのような工程を経て貼り付けられるのだろうか。

羽田空港でJALのGREEN×EXPO 2027特別塗装機のデカール貼付作業を進める整備士=26年10月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 人気キャラクターなどを描いた特別塗装機は、取材上の制約が多く、デカールの貼付工程を詳しく取材する機会は限られる。そうした中、今回は羽田空港の整備施設で、デカールを貼る前の準備や位置決め、貼付方法から仕上げまで、担当者に取材した。実際に貼る作業よりも、下準備や位置決めに時間がかかるという。

—記事の概要—
・位置決めが難所
・2人1組で1枚ずつ
・貼付前に領収検査

位置決めが難所

 今回の特別塗装機はボーイング737-800型機(登録記号JA344J)。JALグループで整備を担うJALエンジニアリング(JALEC)がデカールの貼付を担当する。機体は10月31日に大分発羽田行きJL674便として運航後、11月1日朝に格納庫へ入った。機体への貼付に先立ち、デカールは別部署による「領収検査」で、仕様書や図面と現物が一致しているかを確認する。貼付作業は約5日間を予定し、1日約10人が早番と遅番に分かれて作業する。

羽田空港でデカール貼付作業が進むJALのGREEN×EXPO 2027特別塗装機=26年10月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 デカール1枚の大きさは、代表的なもので横1.3メートル×縦1.7メートル。片側47枚、左右合わせて94枚あり、今回はマスキングなど準備作業も含めて全工程で4.5日かかり、うち貼付作業は2.5日だった。

 貼付前の下準備では、まず客室の窓を紙などで覆い、デカールを貼る部分を溶剤でクリーニングする。油分や水分を取り除き、飛行中にデカールが剥がれないようにするためだ。通常の機体洗浄とは異なり、塗装作業の前などに使用する溶剤を使うという。

 デカールを貼るのは機体表面のすべてではない。灯火類や貨物室ドア、スタティックポート(静圧孔)などを避けて貼る。胴体外板が重なる「ラップジョイント」と呼ばれる部分にも、定期的な検査のためデカールを貼らない箇所がある。後から検査する際にデカールをはがさずに済むようにするためだ。

 下準備が終わると、図面に従って機体表面に縦と横の基準線を設け、デカールの位置を決める。裏紙を一部残して仮止めし、隣り合う絵柄がつながるか、客室の窓に対してデザインが正しい位置に来るかを確認する。何番目の窓にどの絵柄がかかるかまで確かめ、全体の位置が合ってから貼付を進める。

羽田空港でJALのGREEN×EXPO 2027特別塗装機のデカール貼付作業を進める整備士=26年10月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港でJALのGREEN×EXPO 2027特別塗装機のデカール貼付作業を担当した清水さん=26年10月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 JALECの羽田航空機整備センターで貼付作業を担当する清水秀文さんによると、特に難しいのは胴体後部の細くなる部分だ。機体表面が複雑な曲面となるため、デカールを引っ張りながら絵柄を合わせる必要がある。一度強く貼り付けると位置を直すのが難しく、仮止めまでの調整に時間がかかるという。

羽田空港でデカール貼付作業が進むJALのGREEN×EXPO 2027特別塗装機=26年10月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港でデカール貼付作業が進むJALのGREEN×EXPO 2027特別塗装機=26年10月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港でデカール貼付作業が進むJALのGREEN×EXPO 2027特別塗装機=26年10月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

2人1組で1枚ずつ

 貼り付ける際は、2人1組の2チームで作業。裏紙を剥がす担当者とデカールを押さえる担当者が協力し、1枚ずつ貼っていく。位置が決まった後の貼付にかかる時間は1枚10分以内程度だという。下準備や位置決めには別に時間をかける。

羽田空港でJALのGREEN×EXPO 2027特別塗装機のデカール貼付作業を進める整備士=26年10月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 分割したデカールは、前後や上下で端を重ねながら貼る。飛行中の風の影響も考慮した、屋根瓦のような重ね方だ。デカールには微細な穴が開いており、貼る際に圧力をかけ、内側の空気を逃がしながら機体表面に密着させる。

 客室の窓にかかる部分は、デカールを貼った後で切り取る。窓やドアの周辺には、切断用の糸を内蔵したテープを使う箇所もある。貼付後に糸を引くとデカールが切れ、機体表面にカッターの刃を直接当てずに処理できる。

羽田空港でJALのGREEN×EXPO 2027特別塗装機のデカール貼付作業を進める整備士=26年10月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港でJALのGREEN×EXPO 2027特別塗装機のデカール貼付作業を進める整備士=26年10月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 そして、後部へ行くと胴体が絞り込まれているため、曲線で構成されている飛行機にとって、さらに貼付作業の難易度が上がるという。

 今回の特別塗装機では、白い下地用のデカールと絵柄の入ったデカールを組み合わせる。機体に貼る際は高所作業車を使用。貼付後はデカールの端部をマスキングし、透明なシーラー剤をハケで塗る「エッジシール」で仕上げる。端から剥がれるのを防ぐための処理で、窓の周辺などにも施す。

貼付前に領収検査

 JALが整備に使う部品などは、すべて「領収検査」を受けている。このため、機体に貼る前のデカールにも、検査工程がある。デカール製作時の仕様書や図面と納入された現物を照合し、仕様に合っているかを1枚ずつ確認していく。

羽田空港のJAL格納庫に並べられた特別塗装機のデカールの領収検査を行う山田さん=26年10月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 領収検査を担当するのは、JALECの部品サービスセンター機装品整備部機体部品課。同課の山田雄士さんによると、今回の検査では2人が組み、デカールの部品番号や寸法、文字、数字、色、形状などを確認する。

 検査自体は30分かからない程度で、このほかにデカールを格納庫内に広げて並べる準備作業がある。

羽田空港のJAL格納庫に並べられた領収検査前のデカール=26年10月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALのGREEN×EXPO 2027特別塗装機のデカール領収検査を担当した山田さん=26年10月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 デカールは3Mが製作しており、JAL側がデザインの分割位置や部品番号などを指定する。検査で仕様と異なる箇所が見つかれば作り直しになり、改めて検査する。過去にはアルファベットの並びや数字に誤りがあった例もあるといい、気の抜けない作業だ。検査に合格した部品には合格を示す書類を発行し、別部署が機体への貼付を担当する。

 園芸博の特別塗装機は、国内線仕様の737-800。花や緑が彩る地球をイメージしたデザインや、トゥンクトゥンクが機体に大きく描かれ、日本各地を巡ることになる。

羽田空港でデカール貼付作業が進むJALのGREEN×EXPO 2027特別塗装機=26年10月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港でデカール貼付作業が進むJALのGREEN×EXPO 2027特別塗装機=26年10月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港のJAL格納庫に並べられた領収検査前のデカール=26年10月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港のJAL格納庫に並べられた特別塗装機のデカールの領収検査を行う山田さんら=26年10月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

領収検査が済んだ特別塗装機のデカール=26年10月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

領収検査が済んだ特別塗装機のデカール=26年10月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港でデカール貼付作業が進むJALのGREEN×EXPO 2027特別塗装機=26年10月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALのGREEN×EXPO 2027特別塗装機に使用するデカール=26年10月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港でJALのGREEN×EXPO 2027特別塗装機のデカール貼付作業を進める整備士=26年10月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港でJALのGREEN×EXPO 2027特別塗装機のデカール貼付作業を進める整備士=26年10月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港でJALのGREEN×EXPO 2027特別塗装機のデカール貼付作業を進める整備士=26年10月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港でデカール貼付作業が進むJALのGREEN×EXPO 2027特別塗装機=26年10月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港でデカール貼付作業が進むJALのGREEN×EXPO 2027特別塗装機=26年10月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港でデカール貼付作業が進むJALのGREEN×EXPO 2027特別塗装機=26年10月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関連リンク
日本航空 [1]
JALエンジニアリング [2]

・JAL、横浜園芸博に協賛 特別塗装機11月就航へ [3](26年8月31日)