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窓脱落のライアンエア737、ファンブレード破断で胴体貫通 NTSBが予備報告書

 NTSB(米国家運輸安全委員会)は現地時間8月13日(日本時間14日)、7月に起きたライアンエア(RYR/FR)傘下のマルタエア(MAY/MW)が運航するボーイング737-800型機(登録記号9H-QEU)の客室窓が失われ、乗客1人が重傷を負った事故の予備報告書を公表した。右エンジンのファンブレードが破断し、飛散した破片が胴体を貫通して11列目の客室窓部分などを損傷し、客室が減圧していた。NTSBは、バードストライクの可能性も含め調査を進めている。

FR1879便の客室右側11列目の客室窓を機内側から見た様子(NTSBの予備報告書から)

 事故は現地時間7月10日午前6時21分ごろ、ギリシャ北部ポリカストロ付近で発生。テッサロニキ発メミンゲン行きFR1879便で、NTSBは発生地点を北マケドニアとの国境から南へ約4.5海里(約8.3キロ)としている。乗客149人と乗員6人が搭乗しており、乗客1人が重傷を負った。

 パイロットは高度約1万6000フィートを上昇中、右側の第2エンジンに高振動を示す表示を確認。出力を下げてチェックリストを実施し、振動がいったん低下したため上昇を続けたが、その後再び振動が大きくなり、大きな衝撃音が発生した。自動操縦が解除され、客室高度警報も作動したため緊急降下し、高度1万フィート以下で右エンジンを停止してテッサロニキへ引き返した。一方、QAR(クイックアクセスレコーダー)のデータでは、右エンジンの振動値は離陸滑走終盤の浮揚前から上昇し始めていた。

 客室乗務員が11列目を確認したところ、進行方向右の窓側11F席の乗客は損傷した窓部分に体の一部が入り込んだ状態で、窓全体が失われていた。周囲の乗客が客室内へ引き戻し、乗客として搭乗していた医師が着陸まで応急処置した。機体調査では、11列目の窓部分と主翼-胴体フェアリング後方の胴体下面の2カ所で与圧胴体に貫通損傷が確認され、右水平安定板などにも損傷が見つかった。

 右エンジンはCFMインターナショナル製CFM56-7B26。10番ファンブレードが根元のダブテール部分で破断しており、破断面の約37%に疲労と整合する特徴が確認された。電子顕微鏡による調査でも、高振幅疲労(HAF)による破壊と整合する疲労縞が見つかった。疲労の起点付近では複数の起点を示す痕跡や強いフレッティング損傷、関連するスペーサーではエラストマーの劣化も確認されたが、NTSBは事故原因を特定していない。

 整備記録によると、右エンジンのファンブレードは事故253サイクル前の5月24日に超音波検査を受けていたが、異常は確認されなかった。事故までの12カ月間には右エンジンでバードストライクの疑いが4件報告されており、事故後にも鳥の残骸を回収し、複数のファンブレードなどから蛍光を示す物質の試料を採取した。試料をスミソニアン協会の施設へ送り調べているが、ファンブレード破断との因果関係は明らかになっていない。

 ギリシャの航空・鉄道安全調査当局HARSIAは7月16日に、調査をNTSBへ全面的に委任した。NTSBは過去に同様のエンジンで起きたファンブレード破断事例との共通点なども調べており、事故調査を継続している。

FR1879便胴体右側の損傷(NTSBの予備報告書から)

FR1879便のフェアリング損傷(左)フェアリング後方の胴体貫通損傷(NTSBの予備報告書から)

右側にある第2エンジンのインレット後方を見た状態(NTSBの予備報告書から)

右側にある第2エンジンのインレットカウル外筒の貫通損傷(NTSBの予備報告書から)

ファンブレード、シム、スペーサー、プラットフォームの位置関係。赤丸は10番ファンブレードの破断箇所を示す(出典:Safran Aircraft Engines、破断箇所はNTSBが追記、予備報告書から)

10番ファンブレードのダブテール部の破断面(出典:Safran Aircraft Engines、NTSBの予備報告書から)

10番スペーサーの損傷(出典:Safran Aircraft Engines、NTSBの予備報告書から)

関連リンク
NTSB [1]
Ryanair [2]

ライアンエア737、離陸後に窓脱落 乗客の体が一部機外へ [3](26年7月11日)