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羽田空港の国際線は「ステップレスPBBでおもてなし」 三菱重工交通機器エンジニアリング金川社長に聞く

 3月30日、羽田空港の国際線ターミナル拡張部分が開業した。2010年10月に開業した本館を増築し、サテライトを新設。延床面積は従来の約16万平方メートルから約24万平方メートルに拡大した。旅客搭乗橋(PBB)のある固定スポットも10スポットから18スポットに増えた。

ステップレスPBBに立つ三菱重工交通機器エンジニアリングの金川社長=14年1月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田国際線ターミナルに設置されたステップレスPBB=14年3月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 同ターミナルは開業当初からユニバーサルデザインを取り入れており、世界で初めて段差のない「ステップレスPBB」を採用。拡張部分もこのPBBが設置された。

 PBBは伸び縮みする構造上、段差が生じるのは避けられないと考えられていた。これを覆したのがステップレスPBBだ。通路が広く段差がないため、足が不自由な人や車いす利用時にも、飛行機の乗り降りがしやすい構造になっている。

 このステップレスPBBを製造したのが、広島県三原市の三菱重工交通機器エンジニアリング。ステップレスPBBについて、金川泰宏社長に話を聞いた。

価格競争より付加価値

 同社の前身は三菱重工三原で、PBBは1970年ごろから三菱重工本体が売り出した。三菱ではそれまで一般的だったスチール製PBBではなく、アルミ製のものを手掛けた。

 「アルミ製の売りはさびないこと。スチール製に塗装しても年数が経つと補修が必要で、5年くらいは塗装補修で済むのが、10年経つと全面塗装が必要になり、空港としては負担が大きいのです」と金川社長は説明する。アルミ製はスチール製より2割ほど高いものの、導入後の整備コストが安くつく付加価値戦略をとったわけだ。

 その後、PBBについては三菱重工から製品移管して三菱重工交通機器エンジニアリングが、一貫して引き受けることに。しかし、時が経つにつれ、海外の競合他社との価格競争が激化していった。そこで、同社は価格競争とは距離を置き、付加価値で勝負するひとつとして、「動く歩道」(コンベア)の構造を応用してステップレスに取り組む。

“そんなものいらない”を避けるために

「メーカーが考えるものは得てして自分勝手」と語る金川社長。「そんなものはいらない」と言われない工夫を凝らした=14年1月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ステップレスPBBが導入された背景として、空港のバリアフリー化があるが、金川社長はこれだけではないという。

 「飛行機が空港に着くと、皆早く降りたいとPBBをかけていきますが、床は見ていないですよね。そこで、ハイヒールが段差にはさまるといったトラブルが起こる」。せわしなく飛行機を降りる際、段差が思わぬトラブルの原因になっているという。

 こうしたトラブルは、